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第535話 デカイ図体でも几帳面なサンケイ⑤

 「続いて春日井選手の評価です」


 実況の誘導に従い私もできあがった品を手ずから運ぶ。

 コ・ガイシがやっていたように蓋をかぶせてドキドキ感を演出する。

 なんだかこっちがドキドキしてきたのだが。

 そうしてサンケイの元までたどり着く。

 コ・ガイシも勝利を確信しながらもその目は不安気だ。

 私がどんなトリッキーな手段を使ってくるか予想できてないからだろう。

 客席も先程までの喧騒が嘘のように静まりかえっている。

 時は満ちた。

 サンケイの目の前でおもむろに蓋を取る。


 「スイートポテトです」


 私が作ったのは一口サイズのスイートポテトだ。

 サツマイモを吹かして潰し、バターと砂糖を混ぜ、再度、焼きを入れた単純なものだ。

 しかし、この僅か工程を加えるだけでサツマイモは全く別の食べ物へと変化するのだ。

 観客から歓声が上がる。

 しかし、コ・ガイシの時の声援に比べるとやはり小さい。


 「確かに大ボリュームの後にデザート感覚で食べられるおやつはありがたいけど、ちょっとインパクトにかけない? これで本当にコ・ガイシの海鮮チャーハンに勝てるの?」


 「無理でしょうね。個としての実力が違いすぎますから」


 あっさりと敗北宣言をした私に、腑に落ちない顔のサンケイ。


 「だから私は数の力で勝ちます。クーリッジ、メッテルニヒ始めて」


 私がそういうとクーリッジとメッテルニヒが観客にスイートポテトを配り始める。

 無論、大量に仕入れたサツマイモはこのためにあった。

 

 「えっと、オープンバトルはあくまで僕の評価で勝ち負けを決めるんだけど…」


 困惑した顔でサンケイは指摘してくる。私が何をやりたいのか理解に苦しんでいるのだろう。 


 「ええっ、分かってますよ。けど、観客に配っちゃ駄目ってルールもないでしょう」


 配られた観客は次々と歓声を上げていく。

 ココまで本当に美味しい品ばかりを見せられていたのだ。

 そりぁ、どんなものでも美味しく思えるだろう。

 というか、実際、普通に美味しいし。


 「ほら、実況の人もどうぞ」


 私自ら、実況に渡す。


 「こんな手段、卑怯だぞ。春日井」


 コ・ガイシは噴飯やるかたないといった表情で私にクレームを入れてくる。

 しかし、ルールは一つも犯していない。

 

 「まあまあ、皆さんも食べてよ。美味しいよ」


 そう言って、コ・ガイシの仲間達にも配っていく。

 誰も食べないという選択肢はとれないだろう。

 一口サイズなので断るより口に入れた方が早い。

 断る労力の方が大きいのだ。

 仲間の様子を確認しながら、1人が食べると皆、諦めたように食べ始める。

 私の目論見通りだ。


 読んで頂きありがとうございました。明日の投稿もなんとか頑張ります。

 ブックマーク、感想、評価、メッセージ等あれば何でもお待ちしております。

 見様のポチッとが私の創作の『やらないことのメリットとデメリットも図ってみてねって言葉を手に入れた。わりと目からウロコだった…』(意味不明)でしたので何卒よろしくお願いします。


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