第533話 デカイ図体でも几帳面なサンケイ③
「えっ、私っすか!? 料理なんてからっきしっすよ。まあ、飢えないための知恵なら色々持ってるっすけど~」
2人と合流し早速メッテルニヒに尋ねてみたがどうやら頼りにならないようだ。
なんでも上手くこなしそうなイメージがあるが、意外だ。
なんにでも拘らない質だからそうなのかもしれないが。
クーリッジにも聞いてみる。
「料理ですか? 全くできません。いつも誰か出してくれてましたから。まあ、材料を切るぐらいのことはできそうですけど」
悪びれもせず伝える。
こいつ調理の大変さを知らないな。
「というか、僕はあまりサンケイ一門の考え方に共感できないんです。【気】の始まりが食にありっていうのは正しいと思うけど、ここまで【気】の概念が発達しているのにあのやり方
は非効率的じゃないですか。料理に使う時間があるなら技の修行をしたほうがいい。まあ、サンケイ一門は一般の方には人気ですけど」
なるほど、ドレフュス一門とは違い国民皆兵の末端に人気があるのか。
確かに上手く転用すれば無病息災が実現できそうである。
そう考えると、もしかしたら、アクィナスもサンケイ一門なのかもしれない。
戦闘に耐えれるレベルの【気】を使えればドレフュス一門に。
戦闘で活躍できるエリート層ならティルジット一門にという住み分けがなんとなくできているのかもしれない。
「それより勝負です。勝算はあるんですか? 何を手伝えばいいんですか?」
思った以上に協力的だ。一瞬、ドレフュス一門から有名どころを借りてもらおうかとも思ったが自重した。
クーリッジがココまでやる気なのだ。コーディネーターとして使うのは勿体無い。
「とりあえず、素材集めに行こっか。幸いここならどんな素材でも手に入りそうだし」
◇◆◇
素材集めに使える時間は約1時間。
効率を重視するなら作るものを決めてから素材集めをするべきだ。
だが、ぱっと思いつく程度のものでは勝利はおぼつかない。
やはり、旬の素材や特別な材料などを探すべきだろう。
調理道具をどうするかという問題もある。
包丁やまな板ぐらいなら貸してくれそうだが流石にオーブンや電子レンジはないだろう。
いや、マイクがあったぐらいだから似たような道具もあるかもしれない。
しかし、加減が分からないからな…ないと考えた方がスッキリするか。
一皿というのも難問だ。
主食を作るか副菜、おかずかデザートか。
ふと前方を見ると先程までコ・ガイシと戦っていた奴がいる。
米を持ち、海鮮系の食材を慎重に吟味している。
どうやらチャーハンを作るらしい。
私の姿を認めるとサッと食材を後手に隠した。
そんなパクったりなんかしないのに。
それにしてもチャーハンか。
主食でありながら、工夫の余地が大きく、おかずとしても楽しめる。
一皿という条件に合致した最適なチョイスだ。
おそらく具タップリというやつだ。
想像しただけでヨダレが出る。
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