第520話 ホテル・ソウコクハンでの激闘⑧
クーリッジは集束に入っている。
先程の二連発【赤量裂波砲】をもう一度やるつもりだろう。
アレだけの大技を連発して、まだ撃てるのか。
どれだけ【赤気】の貯蓄があるのやら。
こちらも【黄金気弾】で勝負してもいいが、確実に勝てる手段が一つある。
「【赤量裂波砲】」
圧倒的な赤の奔流が私を襲う。
あえてその渦の中に飛び込む。
全力の【黄金気】展開状態と【神亀の加護】があればなんとか耐えれるはずだ。
思ったとおりダメージは無い。しかし、【赤量裂波砲】の圧力に吹き飛ばされそうになる。
だが感覚は戻ったものの実質の重量は変化していない。私は超重量のままだ。
足をふんばり、地面を掘る要領で進めばなんとか進める。
ゆっくりと一歩ずつ歩みを進めれば、 ついにクーリッジの顔が見えた。
【赤量裂波砲】の中を歩いてきたのだ。その顔は恐怖に歪んでいる。
当然だ。自らが必殺と呼ぶ【スキル】の中、防御も回避も行わず歩いてきたのだから。
再び、距離を取って仕切り直そうと照射を止める。
だが、先程までの私とは速度が違う。
照射を止めた瞬間、密着し手刀で腕を折る。
そうして悶絶している中、腹部に渾身の一撃を入れる。
【黄金気】で強化された拳と【神亀の加護】の超重量。
2つが合わさることで獰猛な破壊力を生んだ。
クーリッジはとうとう白目を剥いて倒れた。
◇◆◇
倒れたクーリッジを【白気】で治療する。
このまま捨て置いてドレフュスの部屋に向かってもいいがどうも憎めない奴だ。
噂の【黄金気使い】と戦いたいという欲求をずっと持っていた中でひょっこりと私が現れたのが悪いのだろう。
自分で天才というだけあって、本当に強かった。
たぶん、ヨウメイより強いのはもちろんイヴァンよりも強いだろう。
大口を叩くだけの実力はある。
この敗北を糧にしてもっと実力をつけてほしいところだが…
「うっ…」
クーリッジが目をさます。
「気付いたか? 骨に異常は無いようだけど、立てる?」
無意識に慈母のような優しげな声になる。
うむ、健闘した相手を労るのは極自然なことだ。
「僕は負けたのか…」
腹をおさえ、よろよろと頼りなさげに立ち上がる。
肉体的ダメージというより、精神的ダメージの方が心配だ。
まだ、自分の敗北を認めることができないらしい。
「この僕に勝てる女が姐さんと師匠に以外にいるとは、大した女だ。今後、君のことは敬意を評してゴリ姉さんと呼ぼう」
その言葉を聞いた瞬間、オートで発動した【黄金気】を利用しもう一度眠らせる。
前言撤回。やはり、コイツはただの世間しらずだ。
読んで頂きありがとうございました。
明日の投稿もなんとか頑張ります。
ブックマーク、感想、評価、メッセージ等あれば何でもお待ちしております。
皆様のポチッとが私の創作の『OSをアップグレードさせたら、なろうの履歴が全部とんだ…ショック…』(意味不明)ですので何卒よろしくお願いします。