第52話 ワガママで可愛くてどんな絶望的な状況でも諦めないNPCです
本当にどうすべきか!? すぐに答えが出せず私は長考した。
実際のところ、このまま撤退してクエストを破棄し第一階層のカフェでケーキでも食べて惜しかったぁ~と感想戦をするのが最もいいだろう。しかし、状況が動いてしまい、もはやエミリーに撤退を指示しても聞いてはくれないだろう。彼女は剣の矜持にかけて動こうとしないのだ。その矜持があったからこそ単なるお姫様が剣王にまで成長したのだろう。
ならばもはや、選択はエミリーを見捨てるか見捨てないかの二択に分かれている。
そう、さっき天都笠さんは指摘しようとしていたが私達は死んでもデスペナルティーが与えられるだけだが彼女は本当に死んでしまうのだ。おそらく蘇生は不可能だし、最悪ゲート現象の時と同じくNPCの人々の記憶から存在が消滅してしまうのではないか。
であるならば、私の選択は一つしかない!
「戦おう、天都笠さん。撤退ならいつでもできる。けれど、一度、困難から逃げた人間がもう一度、事を為すのは難しい。私達はここで逃げるようなスケールの小さいことをやりたいわけじゃないでしょう」
私がそう告げると天都笠さんは私の目をじっと見つめて答えてくれた。
「おまえは本当にいいんだな。どんな結果になってもその結果に対して責任を取るんだな。絶対に後悔しないと確約できるんだな」
天都笠さんは私の決断に対する覚悟を念押しして確認してきた。だったら私も彼女の問いに真摯に答えねば。私は彼女の目をじっと見て、笑って答えてやった。
「もちろんだよ。打算と野心の春日井真澄だもの。一度下した決断に後悔を抱くなんて小物のやることだよ」
「ならば、今からは最良の策について考えるだけだな、エミリーなにか策はないのか」
「ええっ、突然言われても・・・」
「じゃあ報音寺君、何か策を出して」
「無茶を言ってくれるな~春日井さんは・・・」
私は報音寺君には参戦の是非を聞かなかった。当然だ、さっき彼は撤退でも開戦でもなくパーティーリーダーとして私の意見を聞いたのだ。ならば、私に従うのは道理というものだろう。なんて思っていたら本当に参戦の是非については意見を言わず間髪いれずに策を述べてくれた。
「まず、ソードパープルヒュドラだけど、未だにオレ達に攻撃をしてこないことから本物の蛇と同じで目は相当悪いと思われる。よって、先制攻撃はこちらから撃てる可能性が高い。次に先制攻撃で自分の出せる最大威力の攻撃を放ち敵のHPを半分ないし、4分の1には減らす。そして、最後に剣王と魔導剣士王という2人の高レベルの剣士がいるんだから、なんだかんで2人は遠距離攻撃をいくつか持ってるでしょう。それを使ってできるだけ、遠距離から攻撃して距離を取って戦う。ソードパープルヒュドラ、エミリー、天都笠さんで大きな三角形を作り、常に距離を保ち三角形を維持する。そして、ソードパープルヒュドラが距離をつめて片方を攻撃してきたらを攻撃を止めて距離を取ることを優先する。もう片方はソードパープルヒュドラが近接戦闘に持ち込まないようにに常に注意を引きサポートをする。オレと春日井さんは2人の回復と補助かな。とにかく近接戦闘はできるだけ避けて、なおかつ、もし近接戦闘になったらすぐに相手の注意を引き遠距離戦闘に持ち込むことが重要かな」
瞬時にこれだけの策を捻りだせるとは・・・セカンドワールドオンラインの設定に関する知識だけでなく、戦闘に対する知識と方法論も持っているようだ。本当に何者なんだろう報音寺君。
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