第519話 ホテル・ソウコクハンでの激闘⑦
「【黄金気使い】が奇妙な【スキル】に頼りよって。最強の【気使い】の誇りがあるなら拳で勝負しろ!」
クーリッジは私から攻めてこないことに業を煮やし、私に斬りかかってきた。
まずい。
まだ、【神亀の加護】の特性を理解できていない。
身体を動かすことすら思うようにいかないのだ。
私は右腕でとっさに防御する。
バキン。金属が砕ける音を撒き散らしながら【桂林一枝】が刃こぼれを起こす。
クーリッジは目の前の現象で起きたことが信じられず、動揺し大きく距離を取る。
【気】を込めたわけでもない。ただ、クーリッジの攻撃に合わせて防御しただけだ。
これが【神亀の加護】の効果か。
常時発動で圧倒的な防御力を得ることができる。
但し、【代償】として動かすことを億劫に感じる程の超重量を課せられる。
これ、攻撃はどうするんだ?
ええい。やってみるしかないか。
全力ダッシュでクーリッジに向けて駆ける。
だが、まるでお相撲さんの走りだ。ドスンドスンと重量感のある音が響いている。
これ、女の娘の戦闘スタイルじゃないし。
だが、接近さえしてしまえば!
クーリッジも覚悟を決めて、逃げずに立ち向かってくる。
右ストレートを放つ。
しかし、先程までの高速戦闘とは異なり、スローモーションだ。
らくらくと避けられてしまう。
【桂林一枝】の攻撃はまるで効かない。ムキになって雑な攻撃を繰り返してくる。
おかげで隙だらけだ。
一瞬の失着をついてスローモーションな一撃を放つ。
クーリッジの腹部に見事命中。
口元を抑えて、またしても距離を開けられる。
思ったとおり重量が上がっているので攻撃力も上がっている。
これまでが金槌の一撃だったとすれば、クレーン車の一撃になったようなものだ。
だが、今のはラッキーパンチだ。まぐれは二度も起きないだろう。
その証拠に遠距離戦に切り替えてきた。クーリッジの両腕に【赤気】の収束を感じる。
まだ、諦めていない。遠距離戦こそ【赤気】の真骨頂と自慢していた。
アレを破らなければ負けを認めないのだろう。
こちらも【黄金気】で対抗するしかない。
いや、待てよ。この状態で全力の【黄金気】を纏えば。
試しに全力の【黄金気】を身体にまとう。
普段通り、全ての身体能力が劇的に上がった。
そうすると、ようやく身体の重みが消えた。
速度の増加がなくなり、重さも消えた。きれいに相殺されたようだ。
【気】の無展開の状態のように動ける。
しかし、全力展開でこれでは…
相当にシビアなコントロールが必要だ。
【聖竜皇の竜眼】といい使えねー。
まあ、使い手を選ぶ技術だと思ってやるしかない。
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