第516話 ホテル・ソウコクハンでの激闘④
「加えて僕を【オリジナル・スキル】だけの男だと思うなよ」
クーリッジがそう叫ぶと私の【NS110鋼の剣】にかかる重みが増す。
筋力がアップした!?
「俺が被弾したことにより【朱気の腕紋章3】が発動。加えて【黒気】を全力展開!」
私が力負けしている!? 力比べなら祥君にだって負けないのに。
だが、これ以上支えるのは不可能だ。
接近戦は不利なのかもしれない。
力点をずらすことで【桂林一枝】の斬撃を捌き、距離を取る。
「白気散弾」
下がりながらも牽制を撃つ。
【白気】でできた多数の気弾がクーリッジに向かって放たれる。
遠距離戦の方が有利かもしれない。
「馬鹿が! 遠距離・火力のドレフュス一門に遠距離戦を挑むとは!!」
そう言い放つとクーリッジは【桂林一枝】を左手に持ち、貯めのモーションを行う。
「赤量裂破砲」
私の【黄金気弾】とほぼ同じ出力の気弾。だが規模はあちらの方が大きい。圧倒的な赤の奔流が私を襲う。
フロア一面避けようがない規模に威力が調整してある。
まさに飽和攻撃だ。
避けられない。避けようがない。
【黄金気】の全力防御。
しかし、いとも簡単に装甲を抜いてくる。
数秒程、照射が続いただろうか。なんとか耐えられた。
だがHPの減り方が嘗てない勢いだ。
「忌々しい防御力だ。直撃を喰らって五体満足で動けるとは。だが所詮、出力頼み。僕なら壊せる」
流石に自分を天才と呼称するだけのことはある。
練達の【気使い】と言えば、やはり、接近戦のエキスパートというイメージがある。
しかしクーリッジは遠距離・中距離・近距離と苦手な距離がまるでない。
おそらくドレフュスから遠距離戦を中心に教育を受け、そこから近距離戦を編み出していったのだろう。
遠距離戦がどことなく型に従って隙の無い構成になっているのに対し近距離戦は攻撃力は凄まじいが洗練さがない。
きっと中距離・近距離戦は我流なのだろう。
そのせいで祥君程の脅威は感じない。
とにかくやたら攻撃特化な相手で【黄金気】がこうもバコバコ抜かれるのは記憶がない。
これまで防御をいかに【黄金気】まかせにしていたかよく分かる。
だが、回避力や防御力はそれほどでもない。
なんとか奴の攻撃を耐えきり、カウンターを撃ちこめば一発で終わりそうな予感はある。
問題はどうやってあの超威力の攻撃を耐えるかだ。
そういえば、【主従契約】を結んだ相手に神亀がいたな…
あいつもダメージを与えるのが一苦労だった。何かアドバイスをくれるかもしれない。
呼び出してみるか。
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