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ゲームで人を殺してなぜ悪い!? ~私の彼氏はPK(プレイヤーキル)職人~  作者: ネガメガネ
第2章 早くレベル400ぐらいになってください。えっ、私、まだレベル4なんですけど…
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第51話 ワガママで可愛くて神の代行者たらんとするNPCです

 「ソードパープルヒュドラ!?」


 「ああっ、パープルヒュドラの上位体だ。こんな低い階層にはまずいない個体なのに・・・」


 「前にアレを相手にしたときはレベル300のプレイヤーが3人、レベル200のプレイヤーが2人の合計5人パーティーで挑んだが3人が死んだ。私は手持ちの秘蔵アイテムを全て使い尽くしギリギリ生存できたという状態だった。一体なんでこんなことに・・・」


 天都笠さんが絶望に満ちた表情をしている。そこまで勝算の見込めない相手なのか・・・


 「おそらく大幸と大厄のシステムが働いたんだろう」


 報音寺君がそんな天都笠さんを見て自身の考えを述べた。


 「この世界では幸福と不幸が等分割されている。当然だ。人の手で創られたゲームだし、国家がこのゲームに関与している以上、機会の均等は守られなければならない。だから、カードの購入やレアアイテムの獲得などは完全にランダム設定になっている。それでも、ある種の人間が本人の意思とは関係なく偶然に、それも必要以上に幸運を獲得してしまうことが稀にある。そんな時に発揮されるのが大幸と大厄のシステムだ。そういった、必要以上の大幸を得たものには大厄が発揮されシステムが帳尻を合わす。もちろん、必要以上の大厄を受けたものには大幸が発揮される。聞けば春日井さんは気の取得とかレアカードゲットとか、必要以上の大幸が働いた。おそらくその帳尻を埋めるためにシステムが干渉してきたんだろう」


 って!? 私のせいだったのか!? 私の馬鹿ツキがこの状態を招きよせたのか!?


 「春日井が気にする必要はない。それが事実だとしても運の制御はプレイヤーには制御困難だ。そのシステムもプレイヤーの意思とは無関係の幸運にのみ働いているようだ。ということは誰でもそういう状態に陥る可能性があるということだ。気にするな」


 天都笠さんが絶妙のフォローを入れてくれる。やっぱこの人いい人だわ。


 「止むを得ない。撤退しよう」


 一瞬にして天都笠さんの顔が指揮官のそれに変わる。仕方がないか、それほどの高レベルプレイヤーが束になっても勝てない相手では・・・


 「待ってください。そのような強敵だからこそ、ヘンドリュック開拓村のマシュマーは万策つき生涯、神に祈り、神がその意を汲み、結果、私達がここにいるのではないのですか! 一太刀の干戈を交えず撤退などと言うのはおかしいのではありませんか」

 

 意外なことにエミリーが凄まじい剣幕で反対してきた。

 

 「神を動かす程の祈りというのは尋常なものではありません。わたくしも嘗て、祖国の安寧のため神に祈りを捧げておりましたが神を動かせた程の祈りを為すことはできませんでした。私だけではありません、歴代の人間が全て真摯に祈りを捧げていたでしょうがそれでも神を動かすことはできなかったのです。それが当たり前なのです。盗賊、夜盗、聖職者、皇帝、理非善悪に関係なく老若男女、生きとし生けるもの全てが祈るという行為を為すことができるのですから。いっぺんのくもりもない真の祈りでなければ神を動かすことなどできないのです。わたくしはマシュマー氏を尊敬します、自分のためではなく、村のために祈り神を動かした彼を。そして、その祈りの代行者である我々がここで引くことなどできないのです」


 そうかNPCに取って神を動かすほどの祈りというのはそこまでの意味を持っていたのか。もちろんエミリーはエスクード王国での冥龍王とのことを思い出しながら言っているのだろう。考えてみれば当然か、きっとエミリーを含め歴代の王国の人間が冥龍王の撃退を祈っていたのだろう。しかし、残念ながらその祈りは叶わず、ココにその祈りを叶えた人間がいたのだ。エクシード王国が数百年かけてできなかったことを一人の人間が為せたのだ。その奇跡を見た以上、彼女が引くわけはないだろう。

 私が勝手に感心していると天都笠さんが冷静な現状分析でエミリーを説得しようとする。


 「しかし、勝算があまりにも少ない・・・毒や麻痺、混沌。状態異常がパールヒュドラの比じゃないんだ。それに私達は死んでしまっても構わないがお前は・・・」


 なおも徹底を進める天都笠さんに対しエミリーは一歩も引かない。 

 

 「そんなだからあなたは剣王でなく魔導剣士王などという中途半端な職なのです。剣王を名乗りたければ剣に矜持を乗せなさい。わたくしが剣に乗せた矜持は民を救う剣であること! イレギュラーが発生したから撤退!? 馬鹿馬鹿しい。戦場に確たるものなどあろうはずがない。撤退したければ勝手になさい、わたくしは1人でも戦います」


 ダメだ。完全に意見が割れた。それも修復不可能なほどに決裂した。どうする!? 

 どう説得するか私が悩んでいるところにこれまで沈黙を守っていた報音寺君からのキラーパスが回ってきた。


 「はい、ストップ二人とも。このパーティーのパーティーリーダーは春日井さんだ。春日井さんの意見を聞こう」


 決定権が私にゆだねられた。

 読んで頂きありがとうございました。なんとか投稿できました・・・明日はちょい早めて17時の予約投稿で行ってみたいと思っています。1時間ずらすのはそれによって閲覧数とかどう変わるだろうとチェックするためです。例によってまだ書けておらず今から書くのですがガンバリたいと思っています。よろしくお願いします。

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