第503話 直弟子会議⑤
「上等だ。表へ出ろ」
もはや、パフレヴィーとの一戦は避けられない。戦闘力で私の想いを示さないと納得いかないのだろう。
極めてシンプルな回答で私も分かりやすい。
「待て、春日井。パフレヴィー様もお待ち下さい」
ディズレーリが必死の形相で止めに入る。
しかし、言葉で止まる段階はとうの昔に終わった。
私は返事もせず、出口に向かう。しかし、パフレヴィーは違った。
「ふむ、殺し合いは楽しいが儂らが潰しあえば、喜ぶのは帝国だけじゃな。それはちと面白くない。なら、腕相撲でお主の力を図るとしようか」
腕相撲だと?
皆が引くのが分かる。
その顔は絶対に私が負けるとふんだ顔だ。
正直、戦闘で決着をつける気満々だったが皆がそこまで私を見限っているのなら話は変わってくる。
ここで勝利し、度肝を抜く。
「それなら平和的でいいじゃろう」
「おい、春日井止めろ! パフレヴィー様と腕相撲なんかしたら!」
尚もディズレーリは止めようとするがもはや、耳に入らない。
「いいだろう。その細腕、叩き折ってやる」
私はパフレヴィーに宣戦布告の言葉を送った。
◇◆◇
どこから用意してきたのか頑丈そうなテーブルが私達の前に置かれる。
腰を落とし、私達は互いに腕を組む。
審判はディズレーリだった。ディズレーリは私側の陣営なのにパフレヴィーは構わず選択しやがった。
その傲慢を後悔させてやる。
「では両者、準備はいいな。レディー、ゴオー!」
開始の合図と同時に全開の【黄金気】を纏い、瞬時に勝負をつける。腕と脚は重点的に強化してある。
目指すのはただの勝利ではない、圧倒的勝利だ。
しかし、パフレヴィーの右腕は僅かに後方に下がっただけで微塵も動かない。
それどころかパフレヴィーの【気】の出力がどんどん上がっていく。
「確かに出力は圧倒的。流石、【黄金気】というところか…じゃが、それだけじゃ。【気】の真価は出力にあらず」
なっ!? 私の【黄金気】が吸われている!?
「これぞ、【吸気】。黒佐賀を倒すために編み出した儂のとっておきの一つじゃ。密着戦闘が仇になったな」
ぐっ、みるみる【黄金気】が吸われていく。【吸収】と【威力強化】が同時にできないのが救いだがこのままではあっという間に吸いつくされてしまう。
【黄金気】が枯渇したらその瞬間、私の敗北が決まる。
ならば、【聖竜皇の龍眼】で!
《肘をつけたまま、相手の腕ごと私の右腕をテーブルに叩きつけろ》
再び、私の右腕に重加速がかかる。
「【黄金気】以外にも妙な技を持っているのか…少し、ヒヤリとしたぞ。じゃが、動きが直線的過ぎる。不意打ちで倒しきれなかったのはお主の失策。【自己暗示】の一種と見たが、だとすれば本人の潜在能力以上の力は出ぬ。【黄金気】を封じた上で、総合能力で上回れば儂が勝つのは道理」
これでも決められないのか。こうなったら未完のアレを使うしかない。
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