第500話 直弟子会議②
「ほら、ふかし芋だよ~1人1個ずつ取って隣に回してね~お腹減ってたら会議も進まないでしょう。フェビアンは久しぶりだから2個取っていいよ~」
大男は懐に抱えた包みをフェビアンに渡す。
「ふっ、一つで十分だ。相変わらずデブいな、サンケイ。俺の分はお前が食べろ」
そう言ってフェビアンは包みから2個、芋を取り出すと1つをサンケイと呼ばれた大男に渡した。
「わ~い。ありがとうフェビアン~」
サンケイは無邪気な様子で礼を述べる。自分が買ってきた品なのに酷く嬉しそうだ。
私は配られた芋を半分に割り、片方をメッテルニヒに渡す。
メッテルニヒはホクホク顔で芋を食べてる。そんなに美味しいのか。
正直、会議の前にどうして芋なんだという疑問があるが皆が当然のように食べている。
私も皮は剥かずそのまま噛じる。
まだ温かい。割ったばかりなので僅かに湯気が立つ。
美味い。よく見れば芋の表面に香辛料がまぶしてある。
ほふほふと言いながら口に入れる。
なんだかティルジットと小競り合いしてギスギスしていた雰囲気が途端に和やかなものになった。
ティルジットまで黙って芋を食べている。
この雰囲気のまま、会議を始められればいいのだが。
「私もいらないわ。なんで会議の前に芋なのよ」
そんな雰囲気をぶち壊す発言を女がする。
無言で座っていた化粧の濃い女はキッパリと拒絶した。
正直、私も同じ疑問を抱いていたが好意で持ってきてくれたものをそうも大声で断ることもなかろうに。
お腹が一杯なら、もらうだけもらっておいて、持って帰るなり、後で食べるなりすればいいのに。
「ドレフュスはいつもいらないって言うね。そんなに細いのにまだダイエットが必要なの?」
悲しそうな声でサンケイが尋ねる。まるで自分の身を切られたような表情だ。
「当たり前でしょう。定体重の維持に私がどれだけ労力かけてると思っているのよ。【赤気】の訓練以上よ」
おいおいそれをこの場で言っては駄目だろう。一応、この国の【気】のエキスパートばかり集めている場なんだぞ。
「ドレフュスは相変わらずのようだな」
フェビアンは懐かしいものを見るような目でドレフェスを見る。
「気安く声をかけないでフェビアン。あなたが出奔して私達にどれだけ迷惑がかかったと思っているの。まだ、私達だけならいいわよ。あなたの直弟子がどういう気持ちでいたか考えたことあるの!」
「かなりの数の直弟子がお前の世話になったと風の噂で聞いている。感謝しているよ、ドレフェス」
「ふん、そう思うなら二度と私に話かけないで! 失ったモノが元に戻るなんて考えているのはあなただけよ。誰がどう言っても私だけは絶対に許さないんだから」
憎しみのこもった目でドレフェスはフェビアンに言い捨てた。
読んで頂きありがとうございました。明日の投稿もなんとか頑張ります。
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皆様のおかげでついに500話です。
500話の感想としては毎日更新はやっぱ凄え~です。自分としては365日投稿をやり遂げた時の50万文字ちょいの時と感覚的になんら変わってません。
思い返すと100話のあたりが一番シンドくて、200話の時はPKについてエースを切ってしまい、その余力で書き。300話の時は突如、決まった3章ラスボスとの戦闘中、400話も展開を悩んでて偶然に近い派生からなんとか書けたって感じなのか…500話もなぜか会議を開く羽目になってるし…第4章初期プロットを大きく逸脱しながらなんか進んでる感じです。
毎日毎日、机に向かうのがかなりシンドくて、けど、締め切りのおかげでなんとか書けてる感じです。
もう無理、今日で断筆すると毎日思いながらも1000文字と少量なんでなんとか書けてます。やはり、300文字ぐらいならさらっと書けて、それを2、3回ぐらい繰り返し、900文字ぐらいにしてから描写を増やしてなんとか1000文字にしてます。
小さな断筆衝動は毎日。大きな断筆衝動は定期的に発生し、もう書けね~もう何も思い浮かばね~これはまずいとか思いながらも絞ればなんとかなるもんです。
たまに、何でこんな凄いアイデアが出たんだろうとビックリすることも。
とはいえ、100万文字や300万文字書いてる人もいるので私もまだまだ、雛なんですが。
いつ折れるかは分かりませんし、プライベートも色々、岐路にさしかかってる自覚があるのでどれだけ続くか分かりませんがもう少し続けてみようと思ってます。
引き続き変わらぬ閲覧よろしくお願い致します。
最後になりましたが皆様、読んで頂き本当にありがとうございました。
明日もなんとか頑張ります!