第497話 たった1人で帝国の野望を阻止します⑦
「それで、今後の予定はどうするつもりなんだ?」
私の身を案じ、心配そうな表情でグラッドストンは聞いてくる。
「王都に行き、ディズレーリに頼んで兵を集めようかと思っています」
開戦はもはや避けられない。だったら、残った時間でどれだけの兵力を集められるかが鍵となる。
私には無理だがディズレーリならなんとかするだろう。
「王都は割れていると聞いている。主戦派はもはや、主流派ではない。行ったところで一兵足りとも集まらんぞ」
「集まらなければ、私一人でも戦います」
私は意地の悪い笑みをワザともらし、グラッドストンに返す。
グラッドストンは大きなために息をつくと渋々といった表情で建設的なプランを提示してくれた。
「何のプランも無いなら一か八か直弟子会議を開いてみるといい。政軍分離の原則がありますから私達は表立っては政治に干渉はできない。しかし立場を表明し、官に圧力は与えることはできる。春日井、私、フェビアン、ディズレーリの4人がいれば正式な招聘はできるはずだ。そこで合意が取れればクロサガ最大戦力の投入も可能だ。まあ、フェビアンは全ての役職を更迭され、破門されているが、破門された者が招聘に参加できないという規定はどこにも書いてないからな」
法を重んじるグラッドストンにはめづらしく、ルールの裏を突いたようなやり方だ。
それだけ、彼も追い詰められているのかもしれない。
戦えば負ける。それが確定事項になっているのだから当然だ。
なんとしてでも応援が欲しいのだろう。
それにしても黒佐賀直弟子の投入か。
ディズレーリも言っていたな最大戦力だと。
最大戦力がそこにあるならなんで投入を躊躇うかな…
政軍分離は平時には正しい政策かもしれないが今はもはや、有事だ。なんで自分の首を絞めるような厄介な制度を採用してるんだ黒佐賀は?
柔軟性に欠け過ぎていると思うのだが。
「この動乱の中です。他の直弟子達も情報ぐらいは集めにくるでしょう」
うん!? 来るかどうかも分からないような状態なのか!?
黒佐賀直弟子も一枚岩では無いということか。
「ですがあまり期待してはダメだぞ。皆それぞれの思惑があり、それぞれの立場があるかなら。あれをまとめるのは非常に困難だ」
グラッドストンは会議をまとめた経験でもあるのか非常に疲れた顔をした。
「私はマムルークを動けない。フェビアンには私が使者を送り、了承をもらった後、ディズレーリの元に送ろう。春日井達は先に出立し、ディズレーリと招聘の段取りを整えて下さい。彼なら上手くやるでしょう」
読んで頂きありがとうございました。明日の投稿もなんとか頑張ります。
ブックマーク、感想、評価、メッセージ等あれば何でもお待ちしております。
皆様のポチっとが私の創作の『出かけようと思ってたらもう夕方だった…』(意味不明)ですので何卒よろしくお願いします。