第492話 たった1人で帝国の野望を阻止します②
「真澄さんの方こそ、なんでフェビアンとヨウメイを返したんっすか? 帝国との戦争はこれからっすよ。フェビアンの組織、ヨウメイの【トラップ設置】のスキルは十分、帝国に取って脅威っすよ」
話をするネタが無くなったからかメッテルニヒはザックリと聞いてきた。
最も聞かれたくないことなのに…
大要塞マムルークまではまだ、しばらく時間がある。
ずっと無視するわけにもいかない。
私はポツリポツリと自分に言い訳するようにしゃべり始める。
「彼らとの契約は侵攻計画の阻止までだったわ。戦争への派兵では無かったのよ。それは軍の仕事よ。それにヨウメイの言う通り私の一存で侵攻計画の阻止を諦めた。それなのに彼らの命まで貰うのは虫が良すぎるわよ」
彼らは盗賊のプロであって戦闘のプロでは無い。そんな計算もあったがそれは口には出さなかった。
「甘いっすね~自分の気持ちを優先して最善手を打たないなんて~そう言うのを大局的判断ができないって言うんすよ」
メッテルニヒは噛みしめるように感想を漏らす。
「そういうところは我孫子や先代皇帝とは似てないっすね~彼らは利用できるものは何でも利用したんすよ。皇帝の地位と権力を使って。笑いながら非道な命令を次々出したっす。目的のためなら手段を正当化するを地で行く奴らっす。私も何度も苦い汁を飲まされたっす。まあ、笑いながらも心で泣いてたんでしょうけど。人をアゴで使うっていうのも昔は憧れたけど、ああいう顔を見ると恐怖っすよね。裁判官も午前と午後では午後の方が厳しい判決が出るなんて統計もあるっす。大決断をすると心が悲鳴を上げるもんっす。だからといって辛い決断できない人間は人の上に立つべきじゃないっす」
相変わらず私に取って耳障りなことを言ってくる。
しかも、嫌味で言っている訳では無いから余計に始末が悪い。
「まあ、皇帝や領主は人を捨てた人っす。だからといって人の血の通わない決断ばかりしていると一気に民や部下から見放されるもんっす。領主や皇帝が決断できないなら機械が決断すればいいって話になるっすからね。どれだけ損をしても最終的に真澄さんが納得してるならいいんすよ。国も領土もいずれ滅びるものっす。滅びないものなどこの世には無いんすから」
本当にNPCなのかという発言をメッテルニヒは告げてくる。
この口調に随分と騙されるがコイツ相当頭が切れると判断したほうがいいのかもしれない。
未だに【見守る人】ってのがどういう職業か謎だし、なぜ私に追いてくるのかも分からないがメッテルニヒの人物像を修正する必要があるかもしれない。
読んで頂きありがとうございました。明日の投稿もなんとか頑張ります。
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