第491話 たった1人で帝国の野望を阻止します①
「あ~あ~とうとう、一人になっちゃたっすね~」
飄々とした声で感想を述べるのはメッテルニヒだ。
なぜか私と2人で歩いてる。
まもなく大要塞マムルークだ。
プレスビテリアン帝国からずっと追いてきているのだ。
【フォリー・フリクション・フロック】の連中には撤収命令を出した。
フェビアン、ヨウメイもだ。
2人とは国境線上にある【フォリー・フリクション・フロック】のアジトで別れた。
フェビアンとは無言でヨウメイとは碌に別れの挨拶もできなかった。
特にヨウメイとは最後まで気持ちを通じ合わせることができなかった。
「というか、どうしてあんたが追いてきるのよ。あんた帝国側の人間でしょう」
「生まれはウィスコンシン国なんすよ。帝国軍人でもあるんすけどね。私は【見守る者】なんす。だから、請われれば帝国防衛に参加するんすけど、自分の使命の方が大事なんすよ。まあ、真澄さんが本気で帝国に打撃を与えるとは思ってないってところが本音なんすけどね」
明け透けに言ってくれる。まあ、プランが何も無いのは本当だが…
「帝国軍人でもあり、冒険者でもあり、見守る者でもあり、メッテルニヒでもある。自分の在り処をどこにおくか? それはその時の気分次第なんす。こういった自由な在り方は先代皇帝の好んだところなんすよ。そういう意味では自分自身の王たらんとあれっていう発言は好きっすね。真澄さんと先代皇帝は似てるんすよ。それが追いていく理由っすかね。安心して下さい。情報を漏らすようなことはしないっすよ。なんなら通信遮断の措置ぐらいならしてもいいっすよ」
メッテルニヒは手錠を受けるポーズを取る。
最も私には通信遮断の【スキル】や【アイテム】なんて持ってはいないが。
まあ、自分の考えを評価する第三者がいたら役に立つかもしれない。話相手にもちょうどいいか。
「というか情報を漏らされて困るお仲間がちゃんといるんすか?」
イチイチ感に触る皮肉を言ってくるのが癪に障る。
「前から思ってたけど、その【見守る者】って何なのよ?」
「皇位継承に関する事だから言えないっす。守秘義務を行使するっす。言えることだけ言うと先代皇帝が作った皇位継承システムの一つっすね。まあ、半分以上が本人の趣味でしょうが。先代皇帝は妙な役職を乱発したんすけど、その内の1つが【見守る人】っす。この御役目についてる人間は帝国の中なら砦の中でも皇城の中でも監獄の中でもどこでも行き放題なんすよ。【問いを発する者】を見守り、その人間の本質を見極めるのが仕事っす。一番いいのはどこで何をしても帝国から給料が出るんっす。先日まで軍に所属してたんで軍との2重取りで美味しかったんすけど、軍の方はココに来る途中、辞めてきたんす。まあ、私ぐらいの実力があればいつでも戻れるからいいんすけど」
とんでもないことをさらっと言った。
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