第479話 帝都襲撃⑱
墓場から道なり通ってきた道はメイン通りであったらしく、無事、中心街に出た。
どうやらココは下級民街であったらしく、みすぼらしい身なりの人達が威勢良く働いていた。
さて、フェビアンとヨウメイに一席ぶったが完全にノープランだ。しかも、時間もあまりない。
どう動いたものか???
とりあえず、貴族街への通行手形を手に入れて、帝城に潜り込む算段をつけるか。
【気配断ち】を使えば帝城に乗り込むことも貴族街に入ることも容易いがそれでは北の砦の二の舞いになるおそれがあるし…
だったらココではなく、上級民街で情報収集をすべきか。
しかし、この街はにぎやかだな! どちらかといえば貧民街に近い下級民街なのに人々の顔に疲れがない。
なんというか目が腐っていないのだ。
就職したばかりの社会人1年目の目と同じというべきか。給料は安いが希望に満ちている。これから先、真面目に働けばきっといい人生が待ってる。そんなことを純粋に信じている目を、住民が皆しているのだ。
こんなの現実世界では見たことがない。
よほど、景気がいいのか…
あるいは私の国との戦争前で好景気に湧いてるとか…
そんなことはないよな…
ちょうど、朝食もまだだった。露天の串焼き屋があるので聞いてみよう。
「おっちゃん、串焼き一つ!」
「あいよ! 324シェルだ」
結構、取ってくるではないか…
まあ、払えるが…
今月の支出計画を変更しなければならないかもしれない。
支払いを終えると金串で刺された巨大な肉と野菜のかたまりを渡される。
肉も野菜も巨大で握りこぶし一つ分の大きさがあった。
ひとかじりすると胡椒の風味が鼻腔をくすぐり、口の中で肉汁が滴り落ちる。
美味い! この味、この大きさなら324円は有りだ!!
「帝都には初めて来たんだけど、随分、活気があるね。このへん、いつもこうなの?」
食べながら、他に客がいないことを確認しつつ情報収集を開始する。
私が美味しいを全面に出して喋るものだから串焼き屋のおっさんの受けもいい。
ペラペラと唄うように答えてくれる。
「おうさ! なにせ、帝都の中は貧民街も含めてべらぼうに治安がいい。難民としてやってきても帝都に入れば、着るものと、食うもんと、すみかが支給され、職業訓練まで受けれる。この下級民街ってのはそういった奴が最初に暮らしを始める場所さ。昨日までその日の食事の当てすらなかった奴がココでは人間として扱われる。そりゃ、活気もあるだろう」
おっと!? 凄い情報を手に入れた。そんな凄い福祉政策を取ってるのか、我孫子は。どこにそんな金が…
って、その資金なんかを調達するために戦争をしかけまくってるのか!?
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