第477話 帝都襲撃⑯
「ただ殺戮に任して侵攻計画に打撃を与えては色々マズイことに気付いたのよ。一つは【フォリー・フィリクション・フロック】の名誉回復。いずれとは思ってたけど早いにこしたことはないでしょう」
まず、彼らが最も興味を引くであろう名誉回復の件から話を始める。
予想通りヨウメイは茶化すことなく話を聞き入ってる。
「それに、もっと先を見据えると。例えばクロサガ王国が帝国を併呑した場合、ここで帝国の兵士を殺しすぎると統治に支障がでるでしょう」
「クロサガが帝国を併呑するなんて…」
その発想自体が出てこなかったのだろう、ヨウメイは口をあんぐりと開けて絶句している。
フェビアンも流石にそこまで考えていなかったようだ。瞠目している。
「あなた達の功績は歴史の1ページに刻まれるわ。【フォリー・フィリクション・フロック】は不殺で帝国の侵攻計画に打撃を与えたと。そうして始めてあなた達の名誉は回復する。それだけでなく、あなた達の存在は歴史の表部隊にも登場する」
どうやら私のより大きなビジョン掲げ、現状の不満を逸らす作戦は成功したようである。
ヨウメイの毒気はすっかり抜けてしまった。
「皇帝のみを狙う。指揮官をピンポイントで狙う。兵站のみを狙う。やりようはいくらでもあるわ。ただ、不用意に大軍を相手にする。やってみて分かったけど、これは下策よ。別の策を考えましょう」
「それって結局、振り出しに戻ったってことじゃないですか~プランなんて何も無いんじゃないですか~」
あっという間に私の作戦は効力を失ってしまった。やはり、そうそう都合よくはいかないか。
苦笑いしながら私はヨウメイの指摘に応える。
「振り出しに戻ったとまでは思わないわ。強敵と命と誇りを賭けて戦う。これは有りよ。けど、作業として人を殺す。これが酷くつまらないことが分かったわ。やってみて始めて分かることだってあるのよ」
「…」
ヨウメイは私の言ったことに納得いっていないようだ。
しかし、理解ぐらいはしてくれただろう。
その証拠にもうパーティーを抜けろとは言ってこない。これなら、無為な人殺しはしないだろう。
「とりあえず、今日は解散して明日以降、地道に情報を集めるしかないな。幸い侵攻日まで、もうしばらく時間がある。その中で春日井の方針に合致する情報が見つかればいいが…」
フェビアンも方針には納得してくれたようだが具体的な方策は見つからないようだ。私も考えていた常識的な方策に落ち着いた。
「そうだね。とりあえずはそれでいこう。それと、明日からしばらく別行動でいこうか。ココを使って定期的な情報交換は行なう。何か方策が思いつけば、この場で指示するよ」
そう言い終わるとその日はパーティーを解散し、私はセーブ位置の固定を行ってからログアウトした。
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