第47話 ワガママで可愛くて私が腹黒でも許してくれるNPCです
「ええっ、いや、そのどうしようかな・・・まさか春日井さんがスカウトしてくるとは・・・」
報音寺君は心底、意外そうな、いや、嫌そうな声でそう答えた。
きっぱりと断れないとは外見や声に似合わず意外と優柔不断だ。この手の優柔不断タイプはこのまま押せば要求は通る! もう一押しだ!
「けど、エキストラクエストなんて・・・清水谷の断りもないし・・・」
なんか目も合わせずにごにょごにょ言ってるが聞こえない。断りたいが断る方便が見つからず必死で考えているってところか。よしよし。
「え~報音寺君に断られたら私達、全滅するしかなくなるじゃないですか~」
だったら自分で死亡率の高いエクストラクエストなんてやめればいいだけの話だがそんな突っ込みは男子にはできまい。
「私達を助けると思って~お願いできないかな~」
このタイミングで内部通信(気)でパーティー勧誘の依頼も送る。どうする。断るにはパーティ勧誘でNOと返事をし、面と向かって理由を述べて断らないと無礼に当たる。果たしてそこまでの理由を瞬時に編み出し、なおかつそれを私達女子3人に言う勇気があるかな。
「分った・・・行くよ・・・あんまり力になれないかもだけね・・・」
よし!勝利!この手の勧誘で男子に断る選択肢など与えたことがない。ゲーム外スキル『退路なき自由選択』とでも呼ぼうか。効果は対象の好感度が下がるのを覚悟で断るか、嫌ではあるが好感度維持のために協力するかの二択に強制的に追い込む。但し、断る場合もそれ相応の理由をひねり出さないと好感度はさらに下がる。尚、『退路なき自由選択』を喰らった場合、必ず一定量の精神的ダメージを喰らうといったところか。
報音寺君は観念したのだろう、パーティー勧誘にもYESと答え無事、パーティーメンバーになった。
「うまく話がまとまった見たいね、よかったわ」
生仁目さんが絶妙のタイミングで声をかけてくる。
「じゃあ、閲覧権限を解放したわ。どれを受ける?」
おおっ、受取った目録が読めるようになってる。いくつかまだ黒塗りなのは解放条件を満たしていないということか。
えっと、パープルヒュドラ討伐、パープルヒュドラ討伐。あった。
「では、パープルヒュドラ討伐でお願いします」
「はい、了解しました。それでは第2階層にあるヘンドリック開拓村のマシュマーさんから詳しいお話を聞いて討伐をお願いします。討伐を完了したらマシュマーさんからこの紙にサインをもらってきてね」
うわ~結局、お使いクエストの形をとるのか。めんどくさいな~私は早くも暗澹たる気持ちになった。
読んで頂きありがとうございました。明日も投稿できそうなら22時投稿になると思います。よろしくお願いします




