第469話 帝都襲撃⑧
だが、私の推測には根拠が無い。
仮にそうだったとしても先帝の遺志に殉じているという建前を全面に出されれば、私達には為す術がない。
そもそも攻めこまれる相手国には戦線布告の内容など何であっても関係ない。たとえ、論破したところでまた、別の適当な口実を使って襲ってくるし、論破したところで侵攻が止まるとは限らない。
このラインは一応、検討材料のフォルダに入れておいて、本命は別のラインを立てよう。
しかし、それだと一番最初の地点に戻ってしまった。やはり、危険だが民間人には被害が出ないように軍事施設にテロ行為を行い、戦力の分担を狙うか。
群発的なテロを行い、プレスビテリアン帝国のセキュリティーレベルを上げる。その上で上がったセキュリティーレベルの上をかいくぐり、さらなるテロに挑む。
そうして主戦力が帝都を離れるのは危険ではないかと動揺を誘うのだ。
私独りだと、散発的攻撃しかできなかったが今は人数を確保できてる。同時攻撃や時間差攻撃で揺さぶることができる。
まずは駐屯地の確認に向かうか。
「帝都の最大兵員を収納してる施設はどこなの?」
「帝都は東西南北の4つの砦で防衛を担当している。最大兵員は北の砦だ。新兵の教育も担当してるからココが一番兵数が多い」
フェビアンは私の問いにノータイムで答える。
「じゃあ、まずは現地に行ってみようか」
◇◆◇
帝都の北に位置する北の砦は四方を巨大な城壁に囲まれ広大な土地を誇っていた。
四方の城壁には槍を持った兵士が等間隔で警備についており、緩みや疲れもない。
帝都防衛と言えば聞こえはいいがそんな自体にまで陥れば、混乱の極みである。
精鋭が集められつつも出番がない。出番があっては困る。そんな二律背反を背負った部隊であるにもかかわらず生真面目に職務を遂行している。
それだけで士気と練度の高さが窺える。攻める私達としては嫌な相手であることこの上ない。
そして言うまでもないが正門はガチガチに警備されている。
敵との遭遇確率が最も高いので精鋭中の精鋭といった出で立ちだ。
これだけ、人の目があれば【気配断ち】は効果がない。
そういえば、帝都に着く途中で私はフェビアンに【気配断ち】を教えてもらった。【気配断ち】は体内で循環する【気】を薄皮一枚で纏うのがコツだそうだ。
極限まで薄く鋭く。纏うまでは簡単だったがそれを意識して動くとなると難しい。すぐに【気配断ち】が解けてしまう。
一応、静止状態でなら使用可能のレベルまで持っていけた。しかし、潜入工作や実戦での使用はまだ、難しいかもしれない。
【気配断ち】とは 見ても認識できていない状態を指す。勘違いだと錯覚させるのだ。
一瞬であれば勘違いだと錯覚させられる。しかし、2回、3回と複数チェックされればもう無理だ。
だから基本的に見られては駄目なのだ。今のように閉鎖空間に複数の人間がいる場合は効果がないのだ。
まあ、これでもかなり条件はいい。クロサガ王国の兵士だと【気】の扱いに長けているので僅かな【気】の揺らぎでも察知されてしまうことがままある。
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