第464話 帝都襲撃③
フェビアンが連れて行ってくれたのは貧民街、下級民街、の区画を抜けた先の上級民街だった。
上級民街が貧民街などと違いやはり、こざっぱりしている。
貧民街、下級民街は空いた空間を少しでも利用しようとゴチャゴチャしている雰囲気だったが上級民街まで来ると家の前に花が植えてあったり、植樹がなされていたり何よりゴミが落ちていない。
子供達が追いかけっこをしている風景まで飛び込んでくる。
そんな上級民街のやや外れ、武器屋に案内された。見たところ何の変哲もない武器屋だ。
但し、立地があまり良くないのだろう。客の数が少ないように思える。
フェビアンは臆することなく、店主に話かける。
「コレと同じナイフを手に入れたいんだけどな」
そう言って刃の一部が欠けたナイフを見せる。
店主は少し驚いたような表情をし、私達3人を見渡す。いや、正確には店内にいる他の客の様子を確認したのか。
「お前らあんまり見ねえ顔だな。最近流れて来たのか?」
不信げな顔で店主はフェビアンに尋ねる。
「ああ…色々、訳あって華の帝都を尋ねきたって訳さ。これでも年季はソコソコなんだぜ。この店はマニアックな品が多いと昔の部下から聞いたんだ。最近、何人か訪ねてこなかったか?」
それを聞くと店主は満足したようだ。
「全く同じ商品はもう無い。同じ作り手の品なら昨日、入荷した。追いてきな…」
そう言って私達を奥の部屋に案内するとそこは部屋中、武器だらけだった。よく見ると刃のこぼれた品や柄が破損した品、刃に輝きがない品などなども保管してあった。
それらの品にはタグがついていた。そういった品の修繕代行もやっているのだろう。
店主は注文されたナイフの在庫など確認せず、部屋の隅にあった槍の束をどけると何も言わずカウンターに戻っていってしまった。
槍の束の真下には床下収納と思われる入り口があった。しかし、鍵がかかっているようだが…
フェビアンは店主に見せた刃の一部が欠けたナイフを鍵穴に入れる。
カチンという気持ちの良い音と共に解錠の手応えを感じる。
「行くぜ」
フェビアンの中では予定調和のようだ。私達には何がなんやら分からない。ヨウメイと2人、目を合わせる。
もっともヨウメイは鍵穴に欠けたナイフが入った仕組みについて興味津々のようだが。
動揺のないフェビアンの後を追って私達も扉の中に入る。
扉の中は急な階段になっており、おそるおそる降りていく。念のため扉は締めておくと自動で鍵がかかった。魔法具なのかな。
階段を下り、道なりに通路を進むと広大な地下空間に出た。
天上も広く、大空間だ。その先に大きな建物があった。
フェビアンは迷わず中に入る。私達も後を追って中に入るとどす黒い声で歓迎の挨拶を受けた。
「ようこそ、盗賊組合、プレスビテリアン帝国本店へ」
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