第462話 帝都襲撃①
その後、私達は支度をし、アジトを去った。早々に下山すると帝国に入国できた。
入国したと言ったものの実際は山を帝国側に下りただけだ。国境線を警備するという概念はなく、大雑把に国境を決めているとのことだ。よって両国の地図はそれぞれの解釈でバラバラということだ。
途中いくつかの村や街に入ったがヨウメイとの仲は一向に縮まらない。
現在、私達は街の茶店で骨休みをしているが一言もしゃべっていない。まあ、ヨウメイの場合は私とフェビアンの移動速度が早すぎるため、着いていくのがやっとなのだろう。
ずいぶんと疲れた顔をしている。 声をかけず休憩に専念させてあげよう。
フェビアンもフェビアンで休憩中にもかかわらず何か書類のようなものをめくってはしかめっ面をしている。
移動中も各種連絡に忙しいフェビアンをこれ以上、酷使するのも忍びない。自然と私の関心はこれまで通過した帝国の村や街に向く。
改めて気付かされるが我孫子の統治能力の高さは大したものだ。
人が飢えておらず、人々が皆、生き生きと活動している。全てが完璧に上手くいっているためアビコ皇帝への忠誠も高い。
これほどまで統治が上手くいっているのになぜ、領土拡張政策など取るのだろう。自分の臣民の幸福だけを考えればいいものを…
そもそも我孫子どうやって【皇帝】のジョブを手に入れてたのだろう。
アビコ帝国ではなくプレスビテリアン帝国という名前なのだから我孫子が一代で作った国ではないはずだ。
意外とそのへんが重大な要因なのかもしれない。例えば、先代皇帝を説得すればクロサガ王国への侵攻を思いとどまってくれるかもしれない。
あるいは先代皇帝を掲げて内乱を誘発するとか。
帝都に入ったらそこら辺の情報も集めてみよう。
ふとフェビアンを見ると【白気】で手紙を作っていた。文字を【白気】で書いたのではない。紙から【白気】で作成しているのだ。
【気の擬似物質化】というスキルとのことだ。
【オーラソード】作成の延長線上にあるスキルで極めれば応用が無限に効くと自慢していた。
フェビアンは【フォリー・フリクション・フィックス】全団員の【気】の固有パターンを覚えており、団員以外の者が触れば消失するとのことだ。
しかし、ココまで高度な【気の擬似物質化】を持っているのはフェビアンただ一人だ。自然、連絡はフェビアンからの一方通行となる。
他の団員からのフィードバックは無い。
よって偽装工作を受けることや手紙から私達の位置をあぶりだされることはないが、指示を出すフェビアンにかかる負担は尋常ではない。
全ての団員の進捗状況を管理し、必要であれば修正の指示を出さねばならない。
ネットワークの構築よりも、行程管理のウェイトの方が高いのかもしれない。
最初のグランドデザインがよほど優れているおかげで上手くいっているのかもしれない。時間がある時にフェビアンに聞いてみよう。
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