第46話 ワガママで可愛くて私の言うことをなんでも聞いてくれるNPCです
「ちょうど良かった、この報音寺君を推薦するつもりだったんだ」
生仁目さんが笑顔で私達にそう伝える。
「真澄ちゃんは以前パーティー組んでたから知ってるよね。彼はガンナーだし、回復も上手だから君らには最適だと思うよ」
生仁目さんは報音寺君の意見もまるで聞かず私達に話しかけてきた。
「なになに、生仁目さん、突然すぎ!オレに彼女らとパーティー組めっていうの?」
報音寺君はよほど予想外の提案だったのだろう、慌てたように生仁目さんにくってかかっていた。
「君ほどの人間がいつまでもソロでいられると困るのよ、色々と」
「それに遠距離攻撃、回復、支援、苦手なものなんて一つもないでしょ?」
「それはそうだけど・・・オレにも色々予定とかがあるし・・・安易に春日井さんに近づくのは・・・」
「というかもう既に祥君をスカウトしてるじゃない」
「あれはオレにも思惑があって・・・正直、春日井さんがここまで重要な役割を果たすなんて思っていなかったというか・・・」
なにやら、報音寺君と生仁目さんがごにょごにょ話をしている。辺りが騒がしく二人とも声を抑えて会話してるせいではっきり聞こえないのだがどうも生仁目さんが勝手に話を進めているような雰囲気があるのだが報音寺君にとっても迷惑な話だったのではないか。
私達もどうするべきかエミリーと天都笠さんに相談する。正直、私は反対なんだが二人はどうなのだろう。
「真澄様とパーティーを組んだ実績があるならわたくしは賛成ですわ」
「私も賛成だな。どのみち、お荷物が一人いるのだ、二人に増えても問題はないし、攻撃に厚みがでるからな、遠距離攻撃プレイヤーはたとえどれだけレベルが低かろうが欲しいのだ」
一体、いつの間に意見を一致させるほど仲が良くなったのやら二人とも報音寺君のパーティー参加に賛成のようだ。困ったな~反対なのは私だけか・・・
最初のパーティーを組んでおいてなんだが私は反対なのだ。エミリーや天都笠さんとあまりにレベルが違いすぎてパープルヒュドラに瞬殺されてしまい、パーティープレイにならないのかが心配なのだ。私も白気を覚えて剣王を倒すまでは報音寺君と大差は無かったと思うが今となっては実戦経験に差がつきすぎてると思うのだ。
それに彼経由で私や祥君が圧倒的実力の持ち主だと分ってしまったらクラスや学校の反応がどう転ぶか予想できないしな・・・ヨイショされて実質、ボッチ扱いされるなんてのは絶対嫌だし、そこからリカバリーするのはもっと大変だしな~そういえば祥君がプレイヤーキルマイスターって分ったとき、周囲に現実世界の知り合いが誰もいなかったのは助かったよな~
うん!?待てよ。青青森や赤秋田や天都笠さんや祥君の印象が強すぎて忘れていたが人狩の荒野に飛ばされた時、報音寺君もその場にいたよな・・・
事件のあと、何回か報音寺君とは何回かパーティを組んでプレイしたけど事件について何にも言わないし、ゲート現象が終わるまでずっと祥君のことばかり考えていたからすっかり忘れていた。
「報音寺君。私達、後衛と回復役がいなくて困ってるの~一緒にプレイして助けてくれないかな?」
私は必殺のネコナデ声で彼を勧誘する。
作戦変更。エクストラクエストをプレイ中に彼の弱味を握って私達のことを黙っていてもらうとするか。
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