第454話 盗賊団のアジトへようこそ②
「皆、彼女は客人だ。丁重にもてなしてくれ」
私と戦った時の饒舌はどこへやら言葉少なげにフェビアンは私を紹介する。
警戒する視線に好奇の視線、多種多様な視線が私を襲う。
流石、盗賊団の本拠地だけあって皆、目力が強い。
視線の高圧シャワーを受け私がたじろいでいるのを無視しフェビアンはそれだけ告げると足早にアジトの中に入っていく。
ココで出しゃばるのもどうかと思ったので背負っていた男を、私を襲ってきた男に預け、軽く一礼してからフェビアンの後を追う。
フェビアンは黙ってついてきた私を自分の部屋へと案内してくれた。どうやらココが頭目の部屋のようだ。
かなり広々とした部屋で奥にもう一つ部屋があるようだ。
飾りというものはなく、そこかしこに武器や書物が陳列してあり、とても盗賊の頭の部屋とは思えない。おまけに綺麗に整理整頓がしてあるという。
おそらく自己鍛錬などはココでやっているのだろう。手ぬぐいや道着などは無造作に置かれていた。ところどころ付箋の入った書物は全て【気】についてのタイトルが入っていた。
ココでひっそりと自分の方法論を模索していたのだろう。
「適当に座ってくれ」
フェビアンはそれだけ言うとベッドに横になり、私はソファーに座る。
「【気】を消費しすぎた。ココまで消耗したのは黒佐賀の元を去った時以来か…いや、王都でディズレーリと殺りあった時以来か…色々打ち合わせしたいことはあるが頭が回んね~一晩寝れば完全回復する。お前も休むなら奥の書斎を使うなり適当にしろ。好きに歩き回ってもかまわね~お前に勝てる奴はこのアジトにはいねえがお前も女ならちゃんと鍵をかけとけよ」
そう言って鍵を投げ渡してくると即座に眠りに入った。さっきまで殺し合いをしていた人間を前にこうも無防備な姿を晒すとは豪胆なのか、私を信頼しているのか判断に迷う。
しかし、よく考えてみれば部下の前で単に気を張っていただけなのかもしれない。
本当は【黄金烈眞槍掌】のダメージが深刻であの場で倒れたかったのかもしれない。しかし、倒れた4人の部下の処置、私との今後の関係、アジトの人間の動向など不安点が多すぎたためにあの場では倒れることを自分に許さなかった。襲撃に参加した部下をアジトまで無事に帰還する姿を見届ける。その責任感がフェビアンを突き動かすしていたのかもしれない。
他人が寝入っている姿を見ると自分も疲れを感じてくる。
書斎に入ってログアウトしようとしたがふと、盗賊団のアジトを探索するというのはレアな経験かもしれないと思い立つ。
少し歩き回ってみるのも面白いかもしれない。
読んで頂きありがとうございました。明日の投稿もなんとか頑張ります。明日は日曜日なので多分、夕方以降の投稿になると思います。
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