第447話 盗賊団フォリー・フィリクション・フロック⑤
「さっきまでの威勢はどうした? 黒佐賀の下位互換として練習台ぐらいにはなるかと思ったが【黄金気】の力をまるで使いこなせてねえ~どうせ【12冠位の王気】の修得もまだなんだろう。カラーオーラだけだとこんなショボいもんだとは思わなかったぜ。なんでこんな奴に最強の【気】が発現したんだか…」
フェビアンは意味不明なことを呟いている。
だが、追撃してこなくて助かった。
今のうちに潰れた右手を回復する。せめてモノが掴めるぐらいまで回復させたい。
「初撃を受け止めた【気壁】もイカすだろう~【白甲壁】って名付けてる。黒佐賀流には存在しない攻性防御だ。拳での勝負に自信がある奴ほどダメージが大きい。そういう奴が苦悶に歪む姿を見るとせいせいするんだ~」
ベラベラと自分の技の自慢まで始めてやがる。
「お前も我流なんだろう。【黄金気】の技を教えられる奴はいねえし、黒佐賀は技の継承は一切しやがらねえからな。さっきの【黄金烈眞掌】は良かった。もっと他の技も見せてみろよ~」
言われなくても見せてやる。既に右腕と左腕には【白気】の充填は完了しているのだ。
「【白泰山眞剣】」
フェビアンの【気弾】より威力軽視なので到達速度は早い。不意を突くことに成功したのだろう。
横に避けるのではなく、縦に避けた。方向転換のできない宙へだ。一瞬の焦りがハッキリ分かった。
続けて第2擲発射。空に避けたことでフェビアンには逃げ場がない。
「【白鳴動眞剣】」
第2擲も威力を殺し速度優先で作った。フェビアンは苦し紛れに【白気弾】で迎撃。しかし、私の本命はそれではない。
「【白鼠眞剣】」
第3擲がフェビアンを襲う。先程、私の拳を砕いた【白甲壁】を展開させブロック。だが、これすらも囮。
「【白鼠眞剣・裏】
貫通力にリソースの全てを注いだ本命の一撃を放つ。
私も極限まで【白気】を圧縮して放った。【気】の出力では私の方が上だ。フェビアンの【気】の質、技巧がどれほど優れていても同じ工程で作った【スキル】なら総合力で私が勝つ。そう確信して放った。
しかし、フェビアンは無傷。【白甲壁】の硬度を突破できなかった。ただ単に【白気】を凝縮して作った【気】の壁ではないということか。
私は改めてフェビアンに対峙し、【白甲壁】攻略の方法を探る。
「フザけた才能の持ち主だな。【黄金気】だけでなく、【白気】も使えんのかよ。そのレベルのオリジナルスキルを完成させているとはな…【並列製作】、【オーラウェポン製作】、【ファイアリングシステム】、それに【威力操作】、【速度操作】【命中補正】も修得してんのかよ。なるほど本物の天才ってやつはいやがるもんだな…」
フェビアンは戦闘中にもかかわらず、私の放った一連の攻撃を反芻していた。
その姿はとても盗賊の親玉ではなく、真理を求める科学者のようであった。
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