第44話 ワガママで可愛くて敵が強いほど燃えるタイプのNPCです
私達3人はファーストフード店、モクドナルドで今後の予定について話し合っていた。私と天都笠さんはモクドバーガーのセットを、エミリーはモクドシェイクストロベリーを注文していた。エミリーは流動食系の食感自体が初めてなのだろう最初どうやって飲んでいいのか悩んでおり、天都笠さんが吸い続けていればいいとアドバイスするとようやく成功したのだろう、目を丸くしていた。
私は朝からなにも食べておらずモクドバーガーセットを美味しく頂いたが食事まで完全に現実世界と同じ食感、風味を再現していたことに驚いた。不思議なことに食後は空腹感まで消えてしまった。これなら上手いダイエット法になるのではと天都笠さんに話題を振るとフルダイブカプセルを使った場合は別だが本当は現実世界で空腹時、仮想世界で食事を取るのは良くないと逆にお叱りを受けた。
現実世界に戻った時、さっきまで満腹だったのが急に空腹になりそのギャップに苦しんでしまうそうだ。苦しむ内はまだ正常だがそういった生活を続けると今度は次第にそういったギャップを感じなくなり現実世界で飯を腹一杯食べてもまだ、満腹感を得られず限界を超えて食べ続けたり、また、3日程食べていなくても飢餓感を感じることができず現実世界で飯を食べられなくなるとのことだった。
そんな話をして、食事が終わった後、天都笠さんが口火を切った。
「まずは各種設定からだな。NPCとパーティーを組むことなんて稀だからな、通信が使いづらいな」
天都笠さんほどの実力者でもNPCとパーティーを組むことは珍しいのか。私は内部通信(気)を使いエミリーと春日井さんをパーティーに入れる。
「なっ、そんなこともできるのか、気とは・・・まさに万能の裏スキルだ」
パーティーメンバーの承認をした春日井さんがそんな風につぶやいていた。
ギルドに入ってもらったほうがもっと支援もかかるんだろうが天都笠さんもギルドぐらい入ってるだろし、ギルドの二重在籍はまた特別なスキルとかがいるからあえて勧誘しなかった。いや、そもそもギルドに入るってのはもっと重いものか。
「編成はどうする。私は魔導剣士王だ。魔法をまぜた剣技が主体だ。春日井は見習い剣士。エミリーは剣王か。アタッカーばかりでバランスが悪いな。せめて、回復のできる後衛と長距離攻撃できるガンナーの2人は欲しいところだが・・・」
「渚様は魔法も使える剣士なのですか、ずいぶんとオールマイティーなのですね」
「剣一辺倒だとこの世界ではやっていけない。それでも剣一辺倒で剣王の位を得るのは凄いと思うがな」
なんだ、この二人ちゃんと仲直りできてるじゃないか。やはり食の力は偉大だな。
「次は獲物だが、お前達、なにか当てはあるのか?」
「なにもないのか・・・数を相手にするのは趣味じゃないし、パープルヒュドラでも倒しに行くか。素材がソコソコ高値で売れたはずだ」
「お待ち下さい。そのパープルヒュドラというのはなにか人類に仇なす存在なのですか?」
「魔物といえど、命を持った生き物です。むやみにこちらから彼らの縄張りを侵し、命を絶つことには納得できません」
「これだからNPCはめんどくさい。大丈夫だ。常時、討伐依頼が入ってるモンスターだ。たしか、そいつが居座ってるせいで街道の往来の妨げになっているって設定だったはずだ。ではまず、情報管理局に行くぞ」
読んで頂きありがとうございました。明日の投稿は未定ですがもし、投稿可能なら19時ごろに投稿したいと考えています。よろしくお願いします。




