第436話 全てはクロサガ王国のために①
クロサガ王国、王都王門前。
翌日、ダーダネルス領に寄りイヴァンに情報を伝え、その足でココまで来た。
私が来ただけで門番達は怯えている。最初から入城するつもりはなく、イヴァンの同僚の年嵩の兵士にディズレーリを呼ぶように依頼。
普通にお願いしただけなのに血相を変えて呼びにいってくれた。
5分も経たなかっただろう。ディズレーリ頭をかきながらめんどくさそうにやってきた。
早速、入手した我孫子軍の進行計画を伝える。
「その情報なら既に察知している」
私から情報を聞いたディズレーリは驚いた様子もなく、飄々とした顔で答えた。
来る前にダーダネルス領に寄ってイヴァンに情報を渡しておいたのだが上手くやったようだ。情報の伝達が非常に早い。
「ええ、私がガリポリ領から情報を流したんだから」
そう告げると僅かに驚いた顔をする。
自分が仕入れた情報ならどうして、ダーダネルス領に流すのって顔だ? おめえが信用出来ないからだよ。
「それで? 私が仕入れた情報が本物だと考えてクロサガ軍の兵力は?」
私は最も知りたかったことをストレートに尋ねる。
「難しいな…上はガリポリ・ダーダネルス領を放棄することも考えている。ルメリア領まで下がって直接対決を避ける。戦端を開かず睨みあうことで膠着状態を作る。その後、ガリポリ・ダーダネルス共同運営を条件に外交交渉で講話に持ち込む。よって最大戦力である俺たちの投入をためらっている。俺としては時間が帝国に味方すると考えている。アイツら時間を与えれば与えるほど力を蓄えてやがる。なにせ自前の軍以外の皇帝の私軍を編成しやがった…1年前の規模なら追い返えせた。けど、今はどうなるか分からねえ。そして1年後は不可能だろう。やるなら今だ。プレスビテリアン帝国に今、侵攻しても極大のマイナスしかならねえって事実を刻みこむ。クロサガを攻略するのには最後にすべきだと恐怖を植え付ける。その間に、こちらも国力と兵力を上げるべきだと考えているが…」
そこまで言ってから突然。ディズレーリは自分の考えを否定してきた。
「けれど、俺の考えも微妙だ。国力と兵力を上げるって言ってもそれは至難の技だ。口でいうほど上手くはいかねえ…それに全てが上手くいっても最終的にプレスビテリアン帝国と再戦だ。その時、勝てるかどうは分からねえ。それなら、無傷で兵力を残せる割譲案も有りだ。そもそもプレスビテリアン帝国は何考えるか分からねえ。領土を広げて何になるんだ?」
なるほど、主戦派、非戦派、割譲派と別れているわけか…どおりで混乱しているわけだ。しかし、情報を持ってきたかいがあった。おかげで少しはクロサガ王国の状況の把握ができた。念のため、向こうの兵力の概要を教えてディズレーリにさらなる圧力をかけておく。
随分と困った顔をしている。よしよしコチラの思うつぼだ。
そして、止めの一言を放つ。
「さて、相談なんだけど。このクロサガ王国で攻めこまれて最も困る場所ってどこかな?」
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