第435話 我孫子陣営の中に潜り込め⑲
そうして無事、軍議を終えた私達はそのまま解散の流れとなった。
ノロノロしていては阿来津に絡まれる。挨拶もソコソコにログアウトし、現実世界に戻る。
インフィニット・ステーションを外し、用意していたペットボトルで喉を潤し一息つく。
再びベッドに横になり、まとまらない考えをまとめる。
進行計画は全て察知できた。明日にでもイヴァンに伝えればクロサガ王国の方は対応するだろう。
問題はクロサガ王国に我孫子の軍勢を抑えるだけの戦力があるかどうかだ。
我孫子単体でも一騎当千の実力があるのに実力の見えない甲斐田、戦闘狂の阿来津、狂信者の雨佐美。
そして、【魔王】都洲河。さらにA組の人間が参加してくるということは海老名や鬼怒川も参戦してくるかもしれない。
おまけに議題には登らなかったが帝国のNPCも参戦してくるだろう。
彼らの実力も相当なものだと思われる。流石に【気】は使えないだろうが達人級の剣士ぐらいは何名もいるかもしれない。
【エクシード十剣】の例もある。私達クロサガ王国の兵士と同じ強さぐらいは持っていると考えた方がいいかもしれない。
計画が分かっても対抗策が打ち出せない。まさに、我孫子の言うとおりだ。
なんとか黒佐賀直弟子とやらを引っ張り出せないものか…
黒佐賀の孫弟子であるイヴァンですら【黒気】【青気】【剣気】の3種類の【気】を使えた。
そのイヴァンの師匠である彼らなら、かなりの実力を期待できる。
もう一度、ディズレーリと会ってみるか。
しかし、進行情報の詳細ぐらいしか土産がない。
何の交渉材料もなければやはり、会っても前回の二の舞いだろう…
イヴァンから情報は流すので、情報自体の価値もそれ程高くはないし…
なんとか黒佐賀と直に会えれば問題の解決に一気に近づけるのだが…
オンラインで会えないならオフラインで。
しかし、黒佐賀の個人情報は一切分からないからな…
なにか他に打つ手はないのか。
そもそも守るという考え方が間違っているかもしれない。
プレスビテリアン帝国にコチラから攻めこむというのはどうだろう。守るというなら、後は準備ぐらいしかすることはないが、単独で攻めるとなれば今からでも行動可能だ。
大国故に攻めることばかり考えて、自分が攻めこまれることは盲点になっている可能性は高い。自分の足元がおかしくなれば我孫子も出兵どころではなくなるだろう。
攻撃こそが最大の防御だ。さて、どこを狙えばいいか…
それをディズレーリに相談してみるか。上手くいけば私の本気が伝わり、協力してくれるかもしれない。
読んで頂きありがとうございました。明日の投稿もなんとか頑張ります。
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