表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
433/985

第433話 我孫子陣営の中に潜り込め⑰

 「待って下さい。この女が行おうとしたのは盗聴です。そんなことをするプレイヤーは問答無用で切り捨てればいいではないですか、それがこの世界のルールです!」

 

 「春日井、【隠蔽】を使って生徒会室に入ったのはなぜだ?」


 面白くなさそうな表情で我孫子はみずから質問する。

 私の出す答えを予想しているのだろう。この質問はあくまで雨佐美を納得させるだけのものだ。

 だから私は我孫子の予想した模範解答をそのまま提示する。


 「私は皆様方の素の議論の様子が見たかったのです。もてなしてもらおうとは思っておらず、私の存在が皆様の邪魔になってはならないと配慮し【隠蔽】を使ったのです」


 「いけしゃあしゃあとよくもそんな戯言を!」


 「止めろ、雨佐美! 貴様の方法論には無理がある。そもそも議論の土台が間違っている。盗聴などされる者がマヌケなのだ。自分の敵対する相手にどうして善人であることを期待する。だからお前は弱いのだ」


 その我孫子の一言で雨佐美は沈黙した。


 「なら、俺がこの場で野良バトルを挑みますよ」


 今度は阿来津が参戦してきた。しかし、我孫子は即座に切り捨てる。


 「愚か者。俺は先程、都洲河に床を血で汚すなと叱責したばかりだ。春日井はそこまで読んで行動している。ここで戦闘をし、構造物に一切、危害を加えずに戦えるのか。相手は【神亀】をも下した【黄金気使い】だぞ。俺の言葉に泥を塗る気か」


 「だったら、これから行なう軍議をダミーで…」


 なおも雨佐美は食い下がり、我孫子に反論しようとする。


 「たわけ! わざわざ雑兵を蹴散らすためにこれから数時間、偽りの軍議をしろというのか! 貴様の無為な時間と俺の希少な時間、同じだとでも言うつもりか!! 情報が漏れたところで何ら関係なし。雑魚がどのような対策をしようと全て叩き潰す。それこそが皇帝の進軍よ」


 雨佐美がこれほど抗弁する理由がようやく分かった。

 我孫子の性格を読んでいたからだろう。

 私もまさか軍議の内容をカモフラージュなく全て傍聴できるとは考えていなかった。

 雨佐美は我孫子が傍聴の許可を出した時点でこうなることを予想していたのだろう。

 実際、私としては軍議を傍聴し、そこから反例や類例を検証するつもりだった。

 数時間の軍議を全てダミーで進めることなど不可能だ。

 中には本当の情報だって混ぜるし、本当の情報を加工して俎上そじょうに載せるかもしれない。

 ダミー情報を精査し進軍時期だけでも分かれば儲けものと、私は先程から詭弁を吐き続けていたのだ。


 「それにこれほどの妙手を打つプレイヤーをないがしろにしろというのか。それこそ、俺の格が問われるわ」


 読んで頂きありがとうございました。明日の投稿もなんとか頑張ります。

 ブックマーク、感想、評価、メッセージ等あれば何でもお待ちしております。

 皆様のポチっとが私の創作の『来たぜ、今年一番の暑さ! しかし、プライベートでは心を抉られる事案発生。トホホである』(意味不明)ですので何卒よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ