第423話 我孫子陣営の中に潜り込め⑦
ようやく建設的な言葉が出てきた。
そうなのだ。 今、問うべきはなぜこうなったかではない。これからどうするかだ。
「だったら、その答えを見つけよう。まだ、失敗が確定したわけじゃない。誰もリヒャルトシュトラウスさんのことを責めてなんかないよ。私達はあなたの力を必要としているし、修正はいつでも可能なんだよ」
私はできればリヒャルトシュトラウスに軌道修正をした上でこのまま働いてほしい。
彼女は働くことを楽しんでる。もう一度目標を持って働きたいと望んでいる。
都洲河も優秀なスタッフを募集しており、リヒャルトシュトラウスを気に入っている。
両者の思惑は一致しているのだ。
後は、利益を出し、スタッフも疲弊しない、顧客満足を重視した仕事を行えばいいだけなのだ。
結局、彼女は言われたことは器用にこなすが、全体の調整なんかが下手なんだ。私と真逆のタイプだ…
一兵卒としては優秀過ぎるのに上に立つ人間が馬鹿ばかりでそのとばっちりがリヒャルトシュトラウスに全部降りかかった感じだ。
経営者がすべきなのは利益とスタッフのケアと顧客満足の追求。
当たり前の経営だ。
その3つをバランスよく割り振りしないとリヒャルトシュトラウスがいる現場では確実に崩壊する。
よって、私がすべきことは当たり前の経営を行えるように情報の共有と補完を徹底することだ。簡単に言えばリヒャルトシュトラウスのことを見ながら都洲河へのアドバイスすることだ。
私なら2人と上手くコミニケーションが取れる。まず、私が2人から聞き取りを行い、それをフィードバックする。馴れてきたら2人が直接、意見を戦わせればいい。
「前に言ったでしょう。『駄目だったらすぐに辞めればいい。【魔王】といえども、【教団】を落としてリヒャルトシュトラウスさんを攫うには相当に骨がいるって』。本当に駄目ならこのまま帰ればいい。私もそれに賛成する。魔王に文句は言わせない。けど、リヒャルトシュトラウスさんはまだやりたい気持ちが残ってるでしょう。上手くいかなかったことって、考えようによっては財産だよ。失敗したなら、そこから学んで対応すればいいんだから…苦しみ抜いたその先に真の答えはあるんだよ」
「けど、たぶん私はまた違う方向に失敗するぞ。それでもいいのか…」
「大丈夫です! 傾向と対策は練れました。後は私と都洲河の問題です。全力でバックアップしますよ!! それが【教団】と私との【契約】ですから」
「馬鹿だな~春日井は…それじゃあ、お前の収支があってないだろうに…」
私の説得にリヒャルトシュトラウスはとうとう折れた。
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