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第417話 我孫子陣営の中に潜り込め①

 「やっほ~元気~」


 ガリポリ領・領主館でイヴァンと別れたあの日以来、私は呼ばれもしないのに毎日、【喫茶MAOU城八束学園本店】に来ていた。


 「あれ!? 真澄さん、また来てくれてたんですか?」


 今や風魔将の香咲車かざぐるまともすっかり仲良しだ。


 「リヒャルトシュトラウスとエピクテトスがちゃんと働いてるかチェックしないとだしね~それに、今日は新作の【まおう様のバナナムース】を試してみようと思って」


 「そんなこと言って、最後には【苺まおう様】に戻るんでしょう」


 厳格な香咲車かざぐるまからジョークまで引き出せた。香咲車かざぐるまの案内なしに自分で指定の席へ移動。

 いつもの席には相変わらず表情の読めない都洲河が仏頂面で帳簿をつけていた。


 「春日井か…また、来てくれたのか」


 帳簿から目を離して都洲河が挨拶してくる。

 私は都洲河の許可も待たず勝手に座り話を進める。


 「おかげさまで~神亀討伐の報酬をガッツリ頂いたので懐が温かいのよ。ねえ、また生徒会執行部のクエストってないかな?」


 極めて自然に、違和感の香りすら残さず本命の要件を滑りこませる。

 もちろん、私が【喫茶MAOU城八束学園本店】に毎日通っているのはお茶をするためではない。

 我孫子陣営からクロサガ王国侵攻の情報を引き出すためだ。

 そのためにまず、側近の都洲河に近づいているというわけだ。

 都洲河は疑う様子もなく答えてくれる。最もこの男の場合、常に鉄面皮を維持しているので反応を見極めるのがひどく難しいのだが。


 「そう毎日、催促されても困るのだよ。あれば、真っ先に伝えると約束したはずだが…昨日も言ったがあったとしても参加できるかどうかは不透明なのだよ。神亀との【主従契約】。あの行為をどう評価するか生徒会の中でも意見が割れているのだよ。比較的下位に位置する多数派には討伐失敗と映っているし、執行部の我孫子書記や甲斐田副会長は単純に面白がっている。生徒会の中でねじれ現象が起きているのも前代未聞だ。従って、ほとぼりが冷めるまでクエストはないか、春日井は呼ばれないと思うのだが…」


 「そこをなんとか! 【魔王】様の力で!」


 私は大げさに手を頭の上にあげ、拝み倒すポーズを取る。


 「俺は単純にこの【魔王】という【ジョブ】が面白がられているだけで生徒会の中ではそれほど影響力はないのだよ。それにこの店のこともある。最近、なにか店の経営が上手くいってない気がするのだよ…」


 通い始めて数日、ようやく【魔王】の鉄面皮から弱気のサインを読み解くことができた。


 読んで頂きありがとうございました。明日の投稿もなんとか頑張ります。

 ブックマーク、感想、評価、メッセージ等あれば何でもお待ちしております。

 皆様のポチっとが私の創作の『3時間睡眠を取るべきか、このまま徹夜するか、それが問題だ』(意味不明)ですので何卒よろしくお願いします。


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