第410話 生徒会執行部のクエスト⑬
渚は捨て身の覚悟で都洲河の足止めをしてくれている。
しかし、渚と都洲河ではレベルが離れ過ぎている。決着は早々に付くだろう。それまでの時間が渚が私のために作ってくれた問題解決のための期間だ。
渚は少ない余力を振り絞って都洲河を神亀から遠ざけもしてくれた。何としてでも結果を出さなければ。
甲羅を壊された神亀は瞼を閉じ、最後の時を待っている。
私は神亀の甲羅に触れ【白気】を使い回復を図る。
「一方的に攻撃をしかけ、ワシに攻撃が通じぬと分かれば話し合いを行い。そして、自分で申し出た話し合いの結果を踏みにじり、また回復させる。勝手気ままに他人の存在を弄ぶの~人族は~」
神亀はすぐに私の回復措置に気付き、皮肉を投げかけきた。
「私達の中で統率が取れてなかったのです。申し訳ありません、神亀。その上でさらに差し出がましい提案をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「よろしいもよろしくないも、ワシの命はお主の手の中。既にお主に対する厚顔無恥の評価はくつがえらん。ならば厚かましさを上塗りするだけ。構わん。申してみよ」
「やはり、私はあなたが正しいと思う。そして、人族と神族の全面戦争は避けたいと思っています。そのためにもあなたには生き永らえてほしいのです」
「さて、面妖な要望をする娘御じゃ。ワシのHPは残り少ない。回復などせずとも、このまま後一撃入れてワシの命を絶つほうが人族の利益に叶うと思うが…」
「そんなものは先の読めない情報弱者の選ぶ道です。真の情報強者は目先の安易で距離の長い道は選びません。将来のために困難ですが最短の道を歩むものです」
「それはお主だけの理屈に思えるが…それにワシも生きることに些か飽きた…ワシにここまで深いダメージを与えられること自体が稀有じゃ。その褒美にこのまま、討たれてもよいとも思っておる。強者のみが強者に評価を与えられるものじゃ。【魔王】にはその資格がある。逆にお主にはその資格がない。この局面を打開できるだけの実力さえあるとも思えぬが…」
「では、私があなたに生きがいを与えましょう。そして、私は見事この局面を打開しあなたに強者と認めてもらいましょう。人族が持つ最大の武器、言葉を使ってね」
その言葉に興味を持ったのか神亀がようやく、本当の意味で私を見た。
「先程からあなたは強者と称えた故にその命を褒美に差し出すとおっしゃってますが実は違っているのでしょう。あなたに関して言えば生き飽きたのくだりの方が重要では? 生き飽きていたから珍しく自分に傷を与えた相手に命を断ってもらおうとしている。いわば、緩慢な自殺だ。本気も出さず【魔王】と戦って傷をつけることができたから強者と評価する。随分と安い評価だ。そもそもあなたのような趣味人が永い時をかけて、最強の防御を手に入れながら最強の攻撃を持っていないのは至極不自然なのですが…」
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