第407話 生徒会執行部のクエスト⑩
私の突撃に合わせて都洲河と渚が並走してくる。
すぐに神亀のゾーンに入った。蜂の姿をした高速飛翔体が私に迫ってくる。
私を守ると宣言してくれた2人は迎撃は諦め、無数に飛んでくる高速飛翔体をまとめて引き受け誘爆を誘った。
都洲河は甚大なダメージを受け、【高速修復】を作動させ私に追いつき、渚は【朱気の鎧】を2にまで減らして後ろを走っている。
2人が文字通り人間の盾となって私を守ってくれた。何としても神亀にダメージを与える。
「黄金烈眞槍掌!!!」
パイルバンカーのイメージで甲羅に密着させた手から黄金の槍を射出させる。【黄金気】で構成された槍が神亀の内部に通った手応えを感じる。
だが、これだけでは終わらせない。
「竜皇封滅」
刺さった黄金の槍を上下左右に破裂させるイメージで暴発させる。それも神亀の体内でだ。聖竜皇にすらダメージを与えた私の切り札。今出せる最強の技だ。
これならいくら、神亀といえどもノーダメージではいられまい…
「ずいぶんな目覚ましじゃの~」
突如、神亀が人語を話した。
私の最強技を受けてその感想!? いや、それよりも喋ったことに驚いた。私達は警戒のため再び距離を取る。
「なんでワシを殺そうとする。とんだ野蛮人じゃな人族というのは~」
今まで半覚醒状態で戦っていたのか、この神亀は!?
だが私は内心、ホッとした。
言葉によるコミニケーションが可能なら戦闘を回避することも可能だからだ。
人族と戦争をしている神族の1人なので難しいかもしれないがやってみる価値はある。
誰だって命は惜しい。その共通認識があれば交渉は可能だ。
もちろん、こちらから戦闘をしかけた負い目はある。
しかし、その分は色をつけて代価を渡せばいいだけだ。
問題なのは私達に神亀の求める代価を用意できるかどうかだ。
神亀が要求する代価が何なんか、現時点ではさっぱり分からない。
「突然の攻撃をまず、お詫びします。実は私達は神族と戦争をしているのです。同じ神族のあなたにお願いしするのは筋違いかもしれませんが、この地は人族と神族の戦略的拠点なのです。永く住まれた地で申し訳なく思うのですがこの土地を私達に譲ってもらえませんでしょうか? もちろん、代価はお支払いするつもりです」
誰も交渉を開始しようとしないので私が切り出す。
「神族と人族の戦争なんかしらん。ワシはただ、長く生きておるから神族なだけじゃ。ワシが望むのは平穏だけ。ここをお主らの住処にしたいならワシが出ていこう」
流石は長命の神族、土地に執着する人族のような価値観は持っていない。交渉はひどく簡単に終わった。
「それでは駄目なのだよ、春日井。たとえこの地を離れても、どのみち、この階層を平定したときぶつかる。我々、人類の目的はこの階層から全ての神族を根絶やしにすることだ。そこまでして、ようやく、この階層のボスに挑める。我孫子書記も見ておられる。あなたにはここで死んで頂く」
せっかく、交渉が成立したのにぶち壊すような発言を都洲河がしてくる。
そんな馬鹿な話があるか!
「待って、都洲河…」
しかし、都洲河は私の静止など無視して神亀に攻撃を続けるのだった。
読んで頂きありがとうございました。明日の投稿もなんとか頑張ります。
ブックマーク、感想、評価、メッセージなどあれば何でもお待ちしております。
皆様のポチっとが私の創作の『扇風機をついに出した! やっと電気ストーブとファンヒーターを片づけたですので何卒よろしくお願いします』(意味不明)ですので何卒よろしくお願いします。