第406話 生徒会執行部のクエスト⑨
「はああああああああああああああ!!!」
二方向に別れた私達は合図と同時に攻撃をしかける。
まずは私の全力の【黄金気】を込めた一撃。もはや固定化したロケットですら吹き飛ばせる高威力の右ストレートを甲羅に叩きこむ。
固い。私がこれまで叩いてきたどの物体と比較しても固い。まるでダメージが通った気配がない。
「どけ! 真澄!」
渚の剣には特大の炎と荒れ狂う暴風が付与されいた。
炎と風との二重属性。ロンバルディア剣王技の奥義、【翠嵐劫火炎熱斬】が神亀に炸裂する
しかし、甲羅に触れた瞬間、炎と風が消失する。
「ちっ、魔力の完全無効化か。純粋な剣技の応用なのに消失できるのか。まさか、物理攻撃しか通用しないのか!?」
「こういう時は頭部や目、手や足が弱点というのがセオリーなのだよ」
正面から進撃してきた都洲河が魔王の拳で神亀の眼を狙う。しかし、甲羅の時と同じくまるでダメージを与えられない。
私も正面に回りこみ都洲河と同時攻撃を加える。
甲羅に比べればわずかに柔らかいがそれでも鉄の塊を叩いている感触がある。
ならば、【NS110鋼の剣】で眼を切ろうと刃を立てたが瞼を閉じられただけで刃が通らない。
信じられない硬さだ。早くも詰んだ気配がある。
私が視線で都洲河に助けを求めると力強い言葉で返事をしてくれた。
「最強の生物などいない。このまま攻め続けて活路を見出す。攻撃が鈍いのが救いだ」
そんなことを言っていると神亀は魔力で召喚陣を作り高速飛翔体を精製した。蜂の姿をした飛翔体は意思を持っているかのように私達を襲ってくる。
都洲河が接近してきた一体を拳で撃ち落とそうとしたが蜂の姿をした飛翔体は見事に避け、着弾する。
一定以上近づくとオートで迎撃するらしく、簡単に近づくとことすらできなくなった。
「なにか切り札はないか? 春日井、天都笠」
【高速修復】で拳を治癒しながら都洲河が私達に尋ねる。
「さっきと言ってることが逆じゃないの? あの強気はどこにいったの!」
都洲河の豹変に思わずツッコミを入れてしまう。
「グレゴリウスのように【スキル】を使ってくるわけはなく、単純に防御力が桁違いなだけだ。こんな相手に考えるという行為は意味を為さない。それに愚図愚図していたら我孫子書記が参戦してしまう。俺の評価が落ちてしまうのだよ」
「もう、随分と評価は低いように思うけどね」
我孫子は都洲河を腹心の部下として扱っているわけではなく、単なる遊び道具として扱っている節がある。そんな相手に忠義を尽くしても無駄だと思うが。
「私は無いな。魔法剣が無効化されてはお手上げだ。攻撃力が半減していると考えてくれ」
「ロンバルディア流は魔法剣主体だからな、春日井はどうだ?」
「【浸透勁】があるけど、アレほどの敵に通用するかどうか…」
「やってみるしかなかろう。右腹部にむけて仕掛けてくれ。蜂の相手は任せてくれ、春日井には一撃たりとも入れさせない」
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