第404話 生徒会執行部のクエスト⑦
「【矛盾だらけの階層社会】とは4つの宝玉からなる結界精製装置だ。4つの宝玉を同時に動かし完全な正方形を維持しないと結界の維持拡大はできない。他にも条件がある。拡張する前に1度、拡張予定エリア内の【神族】を完全にシャットアウトすることだ。1匹でも潜んでいればアウトだ。よって、エリア拡張前に【神族】を間引く必要がある。あらかじめ大物を倒しておき、結界拡張日にスムーズにエリア内の【神族】を殲滅するためだ。今回、我々のエリア拡大を阻止している大物は神亀だ。この大物を我々が倒す」
甲斐田は私と渚にも分かるよう丁寧に目的を説明してくれる。今回のクエストは本命クエスト達成のための下準備ということか。
「それで私達は何をすればいいの? 我孫子の言う通り陣中の奥深くで見物してればいいの? それなら私達もう用済みだね。参加はしたんだし、帰らせてもらおうかな」
どうも甲斐田と長く話していると危険な感じがする。我孫子も【皇帝】の職業を持ち、自信に裏打ちされた底知れぬ実力を感じたが甲斐田もそれとは違った厄介さを感じる。
戦闘能力なら我孫子の方が上のだが甲斐田は戦闘能力の不足をそれ以外で補っている予感がある。
その証拠に【聖竜皇の竜眼】を使っても職業すら読めない。
こんなの初めてだ。どういう【隠蔽能力】なのか…
「そういうわけにはいかない。私としては君の特性をもっとじっくり見極めたい。せっかく、賭けに負けたんだ。そのぐらいの副賞はいいだろう」
それはお前の理屈であって、私の残る理由ではない。そう思ったが先程から都洲河が唇を噛み、じっと存在を押し殺して発言を控えている。
はあ…私は大きなため息を一つつく。
今日、私を呼び出したのは我孫子でも甲斐田でもなく、都洲河だ。彼の情熱に負けて、私の保身のために参加したのだ。だとしたら、私が帰ることの許可は都洲河にもらわなければならない。
その都洲河が甲斐田に対しては臣下としての分限をわきまえ発言をせず、私には賭けの材料にした心苦しさから一つの文句も発せず押し黙っている。
今日一日は捨て、ここは私が大人になるか…
「私はレベル4だから戦ったところで戦力になるとは限らないわよ」
「構わないさ。【聖竜皇ディオクレティアヌス】を配下に持ち、【黄金気】をその身に纏って戦う【神殺し】の称号持ちの力、拝見させてもらうよ」
情報収集能力もピカイチか…私のステータスが全てばれていた。
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