第401話 生徒会執行部のクエスト④
「やはり、最後の答えはいつもそれか…」
「仕方がないのだよ。社会的インフラとあまりに一体化しすぎて、今や一国の大統領であっても介入ができん。ゲームシステムがブラックボックスすぎて誰も介入ができんのが実態だ。なのに時代時代によって適切にバージョンアップされているのだよ。そのシステムを解明するよりも、システムの正しい使い方を研究し自分の実力を上げる方が効率がいい。蛇口を捻ればなぜ水がでるのか? テレビがなぜ映るのか? より水を使って何を為すか? テレビを使って何を為すか? を考えた方が生産的なのだよ」
「ハイランカーになり知識を深めていけば必ずその問いに突き当たるが、原理すら分からないものに支配されていることに不安を覚えないのか? あらゆる矛盾の解消点であり、あらゆる矛盾の出発点でもある。そして、不可侵のゲームシステムに最も多くアクセスできるのが暁の12賢人というわけか…彼らの内の何人かがゲームマスターなのだろうが…」
「セカンドワールド・オンラインのゲームシステムについて考えているプレイヤーが俺の他にもいたとは嬉しいが…すまんが、おしゃべりはココまでだな」
私達の目の前には仮設テントが設置され、集落の建設途中だった…その周辺には多くの人が忙しそうに走り回っている。
「すまんな、先手を取られた。我孫子書記がもう到着している。どうやら、一杯食わされたようだ。我々の到着が一番、最後らしい」
それだけ、言い残すと都洲河は私達をおいて足早に中央の一番大きなテントに入った。
テント前には護衛も待機していたが都洲河の侵入を止める者はいなかった。
私と渚は外で待っているべきか、中に入るべきか迷った。
しかし、中から揉めている声が聞こえる。私達を迎えに来たことで都洲河が遅刻したのなら彼の加勢に入るべきだ。
私達は意を決して中に入った。
「はっはっはっはっはっ…何を遅参して大きな顔をしている。お前は時間を守ることもできんのか」
私達がテントの中に入ると都洲河と背の低い男が口論していた。
あの背の低い男が【書記】なのだろう。
「お言葉ですがこのクエストは俺が段取りしたもの。集合時間も13時とココに書いてあるはずです」
都洲河が律儀に紙を展開して証明する。
「どこに書いてあるというのだ、うん!?」
面白そうに都洲河の展開した紙を背の低い男は覗きこむ。
【馬鹿な…確かに書いたはずなのに…そうか! 上書きしたんですね、【スキル】で! 【皇帝の法】にココまでの応用力があったとは…」
私は【書記】のステータスを覗く。
【職業:皇帝】とあった。
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