第4話 人生初のログインです
「田舎の学校だからなフルダイブ施設でもあればいいんだけど…じゃあ図書室に移動するか」
報恩寺が歩きながらそんなことを呟いた。
もう、学校のフルダイブ施設をチェックしているのか!抜け目のない男だな、この男。
到着した図書室の隣には間仕切りをしただけの備え付けの簡単な自習スペースがあった。
西暦2084年になっても福天市のような田舎街はそんなに変化などない。
2000年代初頭に紙ベースで発行された本が未だに並んでるがそこに近年ようやく導入された電子書籍のおかげで図書室にわずかなデッドスペースができたようだ。
どうやらこの学校はそのデッドスペースを改造しベニヤ板で仕切っただけの簡単な自習室を作ったようだ。自習室の個室には鍵も無く、コンセントとライトがあるだけだ。
鞄から小学校から数えて私にとっては4代目となるフルダイブデバイス、インフィニットステーションβ型四式3200テラバイト、ピュアピンクを取りだし、コンセントに電源をさす。
私の家は一般家庭なんでそうほいほいとフルダイブデバイスを買うことはできない。四式は中学のときから使い続けいるのでもはや旧式だ。叔父さんが中学入学のお祝いとしてプレゼントとしてくれた品だ。
実は今年も狙ってたんだけど、また公務員の大規模人員削減とかニュースでやっていた。叔父さんの生活も苦しいだろうことは想像できたのでなかなかねだれなかった。
ルーター型は充電がめんどいもんな~やはりテザリングがいいな~
まあ、実質負担金の払い込み完了までもう数ヶ月だ、がんばろう。それにもしかしたら、敵を倒しまくったらお金ががっぽり入るかもだし!
携帯型ルーターのスイッチを入れて、インフィニットステーションと接続。今時、携帯型ルーター持ってる奴なんていないよな~普通は携帯でテザリングだよな~などと考えなら二人のほうを見ると清水谷のやつ七式のα型をもってやがる。α型なんて初めてみた、ハイエンド機だろうが、使いこなせんのか!
2084年、現代では既に物理的な貨幣というものは撤廃された。いまや物理紙幣を使うのはアンダーグラウンドの取引だけだ、それすらも政府が偽造紙幣を作り妨害している始末だ。
国民番号と電子マネーを使うことで生産性を上げ、同時に脱税を徹底的に排除した。しかし、それでも膨れ上がる社会保障費はまかいないきれなかった。
よって現代では日常生活を送る上であらゆる面で携帯は必要となった。単なる通話器機としてではなく、財布としてもだ。
携帯に国民番号と自身のパスワード、それに指紋認証をクリアし、いよいよ、ダイブ準備完了。携帯のUSBコードをインフィニットステーション四式β型のジャックに挿し、携帯型ルーターの電源を入れる。
インフィニットステーションにはディスク取出口が存在するがソフトはたった一本しかない。
ハード開発者は来るべきフルダイブ時代においてこのハードが無限のソフト、無限の世界を作り出すことを夢見て冠した名前であろうが皮肉にもその最初の一本がファーストにしてベストとなってしまった。その影響力は凄まじく、革命すら起こし歴史すら変えてしまった。
そのソフトの名は『セカンドワールドオンライン』
所詮、ついたて程度の吹けば飛ぶようなベニヤ板だ、いつどこでダイブ中の変顔を見られるとも限らない。
両手をおでこの下に置き、手を枕代わりにして机の台の上を見ながらコールする。
「エンター・ザ・セカンドワールド」
おっと前回ログインしたのは家だったか、私の自室に立っていた。
ちっ、第8世代携帯ならオートで自分がログインした場所に転送してくれるのに。
プライバシーとセキュリティーのバランスがまだ悪いんだよな第6世代は…
ログインしたところ、特に今までと変わったところは無い。
おっ、やっとステータスが開けるようになった。どれどれ…
名前:春日井真澄
称号:なし
加護:なし
職業:学生(福天高校一年)
携帯番号:XYXーSREWーLOPW
所持金:61000シェル
レベル:1
HP:120
MP:10
筋力:8
知力:7
体力:10
敏捷:15
器用:14
幸運:5
装備:無し
スキル:有限収納(アイテムボックス初級)
って、携帯番号まで乗ってるな。
デフォルトは全データ開示なのか!?
ここは流石に非表示にしておかないと。
携帯の情報を吸い取ってくれてるから連絡先の設定には困らないが…設定が細かすぎて辛いな。面倒くさいなとりあえず、全データ非表示にしておくか…
それから、お金は、よし、所持金の統合も済んでる。
貯金の6万も統合されてこれでいちいち物理カードを使うなんて原始的な行動からおさらばできる。もっと、低年齢からやればいいのに。非効率な…
職業:学生(福天高校一年)、レベル1とかそのままだな。非表示にはできないのか?
筋力、知力とかはランダムなのか? 知力とか学校の成績はそこそこのはずだからそれを反映してくれないのか。
いや、全国の高校1年の中での偏差値でいけばこのくらいか? やはり、普通に魔法攻撃力とかMP上昇、MP回復のためのパラメーターだから独立してるのかな。
どちらにしても決まってしまったものは仕方がない。あとは如何にして育成するかを考えよう。
とりあえず、報音寺達を待たせてるから先に合流するか。
「検索、東京都立福天高等学校」
目の前に福天高校のウィンドウが表示される。
「転送、福天高校のリアルの私がいる場所へ」
次の瞬間、私はさっきまで居た福天高校の自習室に転送していた。もちろん、さっき私がいた自習室のなかに私はおらず、図書室もまるで人気がなくなってた。
「よっ! 無事ログインできたみたいだな。とりあえずぶつかっちまうからな、そこどいた方がいいぞ」
報音寺が私にアドバイスを送ってくる。
「お待たせお二人さん」
清水谷君ようやく来たようだ。
「さあ、行こうか」
さて、ここからが未知の領域だ。
うーん、描写がむずい。頭で考えたことを文章にするのはなんとむずかしいことか…まあ、書きながら直していこう!書きながら練習していこう!
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