第397話 全てが順調に進んでいると思える瞬間が一番まずい。負債の導火線に火が点いたからだ⑥
「最強の三奴隷? ガズナさん以外にも奴隷の人がいたの?」
「1人はガスナというのか。【影】、【闇】、【夜】のコードネームを持つ3人の奴隷がいると聞く…おそらく【影】だな…最も頻繁に確認されているカトラス使いの女だ…」
都洲河は私の目を見て話しながらも手がキーボード操作の動きをしている。きっと、話しながら祥君の情報をまとめているのだろう。
「【プレイヤーキルマイスターの三奴隷】は名前も【職業】も全てがベールに包まれている。本当に3人いるかも怪しいとのことだ。記録では2人まで無効化したら3人目が現れたとある。数に根拠があるわけではない」
こちらからは都洲河のウィンドウは見えない。しかし、何かを読んでいるように都洲河はしゃべっている。
そういう情報サイトのようなものがあるのかもしれない。
盗み見防止措置が腹立しい。
「一度、レベル300で構成された軍警察が正面からプレイヤーキルマイスターの抹殺に動いたらしい。しかし、結果は壊滅。軍警察でも無理なら突破は事実上、不可能だ。最も確率の高い方法は自分がPKの標的となり、1対1に持ち込むことだろうが…1対1で彼に勝てるプレイヤーが世界に何人いることか…」
都洲河はああ言うが軍警察の壊滅は事前に情報が漏れていたからだろう。
依頼PKの時に経験したが現地でトラブルやイレギュラーというのがザラにある。1人が囮になって多人数のハイランカーで囲めば祥君といえど殺れる気はするがもちろん、口にはしない。
それよりも問題なのは三奴隷が全員女性だということだ。
「ふ~ん、今度、祥君に聞いてみるよ」
なぜか私の声が自然と低いものになる。
「いいのか!? 」
「教えてくれるかどうかは分からないけどね」
「とにかく、【プレイヤーキルマイスター】は単体でも化物じみた存在なのだよ。俺は数回、生徒会執行部の遭遇戦で交戦経験があるのだが、超高速の回避、圧倒的な剣技、高火力の魔法、天衣無縫な思考力。さらにPKで鍛え抜かれた対人特化の戦闘経験値。正直、勝てる気はしない。奥の手が後、何個あるのかも見切れなかった。そこへ三奴隷の護衛までついてはいくら生徒会執行部といえど勝敗が読めない。最もマズイのは生徒会執行部の役職者達はだからこそ、【プレイヤキルマイスター】へ挑みたいと思う点だ。彼らもまた、思考のネジは大きく跳んでいる。自分達が容易に勝てない強敵を求めている節があるのだよ。そうなると狩りに参加した全ての八束生徒は必然的に【プレイヤキルマイスター】に挑まなければならなくなる。死屍累々の戦場が容易に予想できるのだよ。【プレイヤーキルマイスター】と【八束学園生徒会執行部】との邂逅は大破局への第一歩だ。だからこそ、【プレイヤキルマイスター】の同行を認める訳にはいかないのだよ」
そう囁く都洲河の目はどこまでも本気だった。これは冗談でも祥君と生徒会執行部を合わせるのは危険だ。
私は最後にそう認識を改めたのだった。
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