第350話 戦闘報酬は新たな揉め事!?③
「いや~何もかも普通の高校とは違いすぎててびっくりすることばかりだね。皆は高校生から入学してきたの?」
わざと答えやすい質問をぶつける。この質問は明確な答えが存在するから話しやすく、自分の略歴に派生するから会話量確保には打ってつけだ。
欠点は大して面白い話にできない点だが…
自転車で坂道を登っている途中、重いギアに切り替えた時のように話が進んでいない。
ここは会話のプロである私が主導してみるか…
「いや、俺は中等部からなのだよ」
「私も~」
「僕もそうだね」
「私もですわ」
「私は高校入試組だ」
ちゃんと答えてくれるが思った以上に喰い付きが悪い。話が派生しない。
海老名だけ高校入試なのか…やたらと都洲河へ忠誠が厚いがまだ、高校入試から数ヶ月しか経っていない。何かあったのだろうか?
その後もあの手この手を使いなんとか会話を繋いだが大して弾むことなく、上っ面だけをなぞっていった。私は徐々に面倒臭くなり気付けば食べることだけに集中していた。
私のお皿だけ異様に減りが早い。
それでも、知りたいことは大体知ることができた。しかし、人間関係構築には失敗した雰囲気がある。
意外と準備無しという条件下での新しい環境への適応能力が低いことが分かり少しショックである。
こんなことでこの先、やっていけるのかな~
もっとも私だけが会話を盛り上げれないのかと思えばそういう訳でもない。親睦と謳いながらバラけてる印象がある。
飾磨巧、質々浜、海老名の3人は女だけで盛り上がってるし、鬼怒川は会話そっちのけで食堂にいる生徒のステータスを出歯亀している。
都洲河も会話に加わらず神妙な顔で電話をしている。プレイヤーなら通信機能があるのにわざわざ折りたたみ携帯で通話とはひどくロートルな真似をしている。
「ふう…我孫子さんは相変わらずの新しいもの好きだ。教室の中での軽い戦闘なのにもう情報が伝わってしまったのか…」
疲れたような様子で都洲河は携帯を畳む。そうして、水で喉を潤した後、私に向かって突然、話をきりだしてきた。
「喜ぶのだよ、春日井。早くも生徒会執行部からの仕事が入った。明日、明朝8時ジャスト、第17転移門の前に来るのだよ。書記の我孫子さん主催の狩りに参加できるとのことだ」
「本当に!?」
「凄え…」
「これが転入生効果なんですわね…」
会話を中断して、皆が皆、一様に驚く。いや、驚くというよりも興奮しているというのが正しいか。よく聞く名称だが、そんなに凄いのだろうか生徒会執行部とやらは?
そんなことよりも明日の予定を勝手に決められても困るのだが…
明日は予定があるのだ。
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