第348話 戦闘報酬は新たな揉め事!?①
「いつまでも馬鹿話をしてはおれんのだよ。さて、春日井さん、少しは八束のプレイヤーの実力は分かってもらえただろうか? 彼らはミドルランクのプレイヤーだがソコソコやるものだろう。同じクラスでこれから数年やっていくのだよ。いつまでもいがみ合っていても仕方がないと思う。名にし負うプレイヤーキルマイスターの相方に粗相があったのはこちらの手落ち。しかし、先程の戦闘の結果に免じて許してやってはくれないだろうか」
都洲河はその鍛えられた肉体で直立不動の姿勢を保ち、一気に腰を折り謝ってきた。
ただ腰を折っただけで風圧が発生する。まるで何かの【スキル】を喰らった気分だ。
自分達が喧嘩を売り、自分が乱入し勝負をぶち壊したくせに随分、身勝手な言い草だ。
しかし、元々、些細ないざこざで戦闘が始まってしまったのも事実だ。この要求を飲まなければいくら自由通学とはいえ、今後、クラス内で生きていくのに苦労するだろう。
許してやるのも器の大きさだ。
そう自分に言い聞かせることにする。
と言っても目の前で【魔王】と【勇者】のノロケを聞かされて毒気を抜かれたのが本当のところだが…
「もちろん、そちらが矛を収めてくれるなら私からコトを荒立てるつもりは無いわ」
可能な限り晴れ晴れとした声で返事をするよう心掛ける。
人を許す時は徹底することが重要だ。自分の怒りや納得できてない様子を見せてはいけない。それでは逆効果だ。許すと決めたなら潔く濁った感情は捨てる。中途半端な態度が一番悪いのだ。
自制を顔の表面に塗りつけるイメージで喋れば、なんとか上手くいった。
「今日が初登校だと聞く。俺で良ければ構内でも案内しながらこの学園のマイナールールでも教えるが…もちろん、俺以外の人間が良ければ案内させるが…」
都洲河は一瞬、躊躇ったような表情でそう言った。
なんだ、先程の乱入が私に取ってはマイナスだと都洲河は理解していたのか。
この【魔王】様、ちゃんと自分が他人からどういう風に写っているのかを客観視できる人間のようだ。なかなかポイントが高い。
そういうことなら、この流れに乗って情報収集をさせてもらおう。
「そうね、お願いしようかしら。できればクラスの親睦も兼ねて皆で周りたいけど」
「都洲河君が行くなら、私も行く~」
飾磨巧が元気に手を上げ同調した。
「僕も行くよ。春日井さんの【聖竜皇の竜眼】には興味があるし…」
ふらふらとした足取りで鬼怒川がやってきた。
「私も行くわ…私の不用意な発言のせいで都洲河君を巻き込んじゃったから…」
海老名が憮然とした表情を崩さず、近寄ってきた。
「私もいきますわ。私も春日井さんの【黄金気】に興味がありますから」
もう回復したのだろうか質々浜も参加を申し出てきた。
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