第31話 最強のNPCの護衛をつけるために剣王と戦う
剣王ってのはレベルいくらぐらいなんだろう。
私がそんなことを思っているとエミリーがグロスに向かって突っ込んでいった。
そういえば、対NPCとの戦闘も初めてだ。
というかこれってクエストの一環なのか?
考えてみれば姫様を連れ出して誰かに見つかるなんてのはテンプレ中のテンプレだ。
誰にも発見されず、誰とも戦闘を行わずだとゲームが成立していないとも言える。
しかし、それだとセカンドワールドオンラインはすごいな!
こんな感じでオーダーメイドでクエストを作っていくのか。
確かにゲームの中枢は暁の12賢人が関わっていて一般にはブラックボックスと言われているが…
いや、今はそんな考察はいいか、どうやって目の前の剣王を攻略するかが肝心だ。
エミリーがグロスの前方で一合、二合と切り結んでいるが筋力はグロスの方が強いのだろう、祥君は全く同じ強さと言ってたのにエミリーの方が明らかに旗色が悪い。
ならば私が周りこんで後ろから斬る。
大回りでグロスの後ろを取ろうとするとグロスがいつの間にか私の前に大上段で構えて立っている。
なんて早さだ、伊達に剣王の名は名乗っていないということか。
システムアシストはきちんと働いており、グロスの太刀筋は読める。
首を起点とした袈裟斬りだ。
あんな豪剣受け止めるのは嫌だが、もはや回避は間に合わない。
瞬間、剣筋へ剣を盾代わりに入れる。
剣王は防御されたことに一瞬、驚いたような顔をしたがそのまま私を後方まで吹き飛ばす。
「イチチッ」
良かった、【白気】は有効に作用しているようだ。
使い方は分からんがオートで作用してるみたいだ。
常時発動スキルなのか。
HPは減ったが目に見えるほどでもない。
防御能力が格段にアップしている。
なるほどこれなら戦える。
グロスは追撃してくるかと思ったがエミリーが上手く壁役をしてくれた。
言葉も交わしてないのにこちらの意を上手く読んでくれる。
とにかく、これは一人では絶対勝てんな。
こっちから仕掛けてもレベル差がありすぎるんで有効打にならん。
エミリーが崩れた時だけサポートに入り、様子を見るしかないか。
そんなことを思っていると今度はエミリーの剣が吹っ飛ばされる。
これはまずい、すかさず私がフォローに入る。
攻撃しようとせず、防御だけに徹すればあとはシステムアシストが斬撃線を見せてくれる。
だとすれば、残りは度胸と反射神経だけの問題だ。
筋力は向こうの方が上だから吹っ飛ばされないように足にも力を入れる。
重い一撃がくる。
よし、耐えれた。
すぐさま、二撃目、三撃目がくるがなんとか耐えれる。
なるほどようやく【白気】の使い方が判ってきた。
既に身体能力アップと防御能力アップは確認できた。
確認はしてないが攻撃能力もアップしているはずだ。
ここまでがオート。
さらに自分の意識を強くもったところに【白気】の能力はより強く発動される。
先ほどは手と足、両方に意識を集中させたから耐えることができたってことだろう。
よし、段々分かってきた、次は攻撃だ!
そう思って調子に乗ったのが失敗だった。
四撃目、斬撃線こそ見えており、その間にきっちり剣を入れ防御したが剣が渦みたいな動きをしてあっという剣を吹っ飛ばされた。
なんとかエミリーが攻撃に入ってくれうまく逃れられたが…
なんだったんだ、今のは!?
読んで頂きありがとうございました。明日も25時投稿で頑張りたいたいと思います。よろしくお願いします。




