第293話 春日井真澄VS聖竜皇ディオクレティアヌス⑮
「エミリー!」
聖竜皇が投げ捨てたエミリーを私がキャッチする。気絶しているが息はしている。あの超質量の剣撃を捌くだけでも凄まじい負担がかかっていた。その上さらに聖竜皇にも知覚できない一撃を放ったのだ。文字通りあれは決死の一撃だったのだろう。
だが、これで聖竜皇を阻める人間がいなくなった。HPの回復は終わっていないが私が出るしかないか。そう考え、エミリーをイグナティウスに預け、再び聖竜皇を見ると渚とカスティリィヤが聖竜王の前に立っていた。2人だけで戦う気なのか!?
「リグヴェーダ、なんかカードを出せ!」
カスティリィヤは聖竜皇から視線を切らずになんの脈絡も無くそう言った。
「そんな都合のいいカードあるか」
リグヴェーダは私の隣でバッサリ断る。当然だ。あれほどのレベルの敵に有効なカードなどあれば、とうの昔にだしていただろう。
「ということは私達が足止めか…どう考えても時間稼ぎがやっとだな…あんたに策はないのか、天都笠渚?」
カスティリィヤは再び、視線を切らずに渚に問いかける。
「私達2人だけで勝てる方法はない。私には100億のダメージを与える攻撃手段が無いからな。どうやってもあの神器鎧は破れない。よってどれだけ、時間を稼げるかが勝負の分かれ目になる」
渚は絶望的な状態であるにもかかわらず、冷徹に戦況を分析する。自分では勝てないと言いながらその目は勝利を一切、疑っていない。
「最強の前衛がやられたんだ。頼みのプレイヤーキルマイスターもちっとも回復してこね~どのみち全滅以外の道はない気がするが…時間稼ぎにどんな意味があるのか知りたいね」
渚の答えに納得していないのだろう、カスティリィヤ訝しむように渚に詰問する。
「それはお生憎様。なにせパーティーに春日井真澄がいるからな。強いて言えばあいつがいることが切り札であり、策だな」
「最初の一撃であっさりやられたじゃねえか」
格下を見るような目でカスティリィヤは私を見る。
「あいつはあれでレベル4だからな」
「はっ???」
カスティリィヤは怪訝な顔をして私と渚を交互に見る。まるでお化けでも見るような目だ。
「レベル4で死んでない異常性を評価してほしいが…」
渚もまた、カスティリィヤを見ず、聖竜皇に視線を固定したまま答える。
「なるほどな…ちっとはやる気がでてきた。まるきり勝算ゼロって訳でもねえんだ。なら、私も本気でやるか! 神器鎧が無敵でことをドラゴン様に教えてやるか!」
カスティリィヤの表情が幾分、和らいだ。死地に臨むものから戦闘を楽しむプレイヤーのものに変わったようだ。
「どっちが長く持たせられるか勝負だ」
渚がそう叫ぶと2人は同時に左右に飛んだ。
読んで頂きありがとうございました。明日は休みなんで投稿時間は不規則ですがなんとか頑張って投稿したいと思います。
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皆様のポチっとが私の創作の『とあるエクゾダスなロボットアニメを見ている。その作品は登場人物が脈絡無く死ぬことで有名なので非常にドキドキする。見ているだけでカロリーの消費が大きいし、テンションが低い時に見るのはとても危険だ。同化してしまうからだ。1期から出ている超主要メンバーが開始1分で死んだ時は流石にショックだった…やばい、今回、輪にかけて超鬱展開だ…テンションの低い時に見ちまった…しかし、30分終わった後にはすごい充実感があるという! 見事に制作者に心を掴まれています…こんなのを書ければいいのになあ~といつも思う』(意味不明)ですので何卒よろしくお願いします。




