第286話 春日井真澄VS聖竜皇ディオクレティアヌス⑧
私が自分の中で内なる闘志を燃やしているとリヒャルトシュトラウスが合流してきた。
「はじめまして、春日井さん。どうかこれからもよろしくお願いしますね」
うん??? 遠目で直に顔を会わすのは初めてだがこの人がさっきまで文句を言ってた共闘反対最右翼の人でいいんだよね?
「えっと、リヒャルトシュトラウスさんでいいんですよね?」
「はい、もちろんそうですよ。先程は戦闘中で少し気が立ってただけなんです。普段のわたくしはいつもこのような感じですよ」
リヒャルトシュトラウスはまるで育ちのいいお嬢様といった感じで上品に笑い答える。
(気にしないで真澄ちゃん。リヒャルトシュトラウスは初対面の相手とはずっとこんな感じだから。適当に喋っていればさっきの感じに戻るわ。ただ、デリケートな子だから気をつけてあげてね)
私がリヒャルトシュトラウスの豹変に戸惑っているとヴァレンシュタインが絶妙なタイミングでフォローを入れてくれた。
しかし、一体、何がデリケートなんだろう…ヴァレンシュタインは教えてくれなかった。そこを教えてくれなければ、対応のしようがないのだが…いや、ヴァレンシュタインは聡明だ。何事も過不足無く対応してくる。教えてくれないのはわざとなのではないだろうか? こちらからリヒャルトシュトラウスは何にデリケートなのか尋ねたりしたら幻滅されるかもしれない。
私が勝手に乱入して事態を引き起こしたのだ。教えてもらうばかりでなく自分で調べるか…
「こちらこそ、春日井真澄と申します。ご挨拶が遅れ申し訳ありません。もっと話をしていたいですが生憎と戦闘中です。正式な挨拶はまた、後で…ところで、リヒャルトシュトラウスさんの最大火力の魔法はどんなものですか?」
「ああっん!? ふざけるなよ! テメエ!! 挨拶の段階でいきなりそれかよ!!! 同じ【17聖女】にも話してねえんだ! 初対面のテメエ如きに話せるか!!!」
またしても、右肩上がりのキレ方だ。台詞が後になればなるほど声量と勢いが強くなる。あまり付き合ったことの無いタイプの人間だ。礼儀にうるさいのかな!? いや、礼儀にかこつけて自分を守ってるだけか。
(【ル・ラル・ケルベルオ・ヴァイノ・ザムグンド】です。凄まじい威力の雷撃魔法でしたよ)
エミリーだ。私達のパーティーは全員、気を修得しているので相互通信が可能なのだ。これはきっと大きなアドバンテージになるだろう。
「あっ、エミリー! この野郎! 裏切りやがったな!」
(わたくしは真澄様の護衛ですから~)
エミリーは既にリヒャルトシュトラウスの扱い方を心得ているのか軽く流している。
「お願いします、リヒャルトシュトラウスさん。この状況を覆すのはあなたの火力だけなんです。私はそれを知って有効に使わなければ、パーティーに人死にを出してしまいます。どうか協力をお願いします」
こういうタイプには要求する礼儀を守っても意味は無い。現に、私に非礼があったとしてもリヒャルトシュトラウスのキレ方だって礼儀に反している。
あくまでも誠意を持って動かそう。
「【ル・ラル・ケルベルオ・ヴァイノ・ザムグンド・エンテリヴァース】だ。成功率が低くて、未だに自分のモノにできてねえけど、最大火力っていうならこれだ。昔、聖竜皇を行動不能にしたのはこの魔法だ!」
私の想いが通じたのかリヒャルトシュトラウスはひどく真面目な顔をしてそう説明してくれた。
読んで頂きありがとうございました。明日は休みなんでまた、投稿時間が不規則ですがなんとか投稿頑張ります。
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