第284話 春日井真澄VS聖竜皇ディオクレティアヌス⑥
(今の会話聞かせてもらいました)
私は内部通信(気)を使い、祥君、ヴァレンシュタイン、イグナティウス、リヒャルトシュトラウス、リグヴェーダ、プランタジネット、カスティリィヤ、エミリー、渚、聖竜皇と戦っている全てのメンバーに連絡を送る。
ちなみに教団のメンバーで気を修得していない人間にはヴァレンシュタインが単語帳を使い一時的に使えるようにしている。
よって通信は一方通行なのだ。
(皆さん、私が指揮を取ることには思うところがあると思いますが今は有事です。先程から教団の方の戦闘を拝見していましたが聖竜皇に効果的なダメージ与えられていません。もちろん、私達のパーティーも同じです。敵は超強敵で私達には後がありません。このまま、ヤツを第1階層に逃せば深刻な事態を招きます。個々の分散攻撃では深いダメージを与えられません。よって火力を集めての集中攻撃を提案します」
「春日井真澄、てめえ、ふざけるなよ! 元々、テメエらがカチコミを入れてきたからこんなことになったんだろうが! 原因を作った首謀者の指示なんて聞けるかよ!」
遠くでリヒャルトシュトラウスが文句を言っている。本当はヴァレンシュタインの単語帳の効果で聞こえているがあえて声が届かない振りをして無視する。
このパーティーは私を入れて10人の大パーティーだ。個々の意見を聞いてそれぞれ調整していては纏まるまでに猛烈な時間がかかる。こういう場合は誰もが反対しにくいオーソドックスな意見を提示し、まず、私が進行役だということを認めさせる!
その上で、なし崩し的に進行兼指揮者の役割をもぎ取るのべきなのだ。
(さて、異議が無いようなのでこのまま進めさせてもらいます。最も私達のように小規模な協力はできているグループもあります。これを加速させ、さらに高度な連携を取り一気に聖竜皇を倒します)
私がリヒャルトシュトラウスを無視して話を進めていることに渋い顔をしている人間もいる。しかし、一方で私達の協力が無ければ聖竜王は倒せないし、緊密に連携を取らなければ有効なダメージを与えることができないと理解している人間もいる。
(リヒャルトシュトラウスさん、一撃を受けただけで死ぬような遊撃は無意味です。それにあなたには壁役がおらず無防備で危険です。こちらに下がってきてもらえませんか?)
そんなフラフラしているパーティーを締めるためにも、まずは私との共闘反対最右翼の彼女を切り崩す。
「さっきから言ってんだろ。私はお前の指示を聞く気はねえ!」
私はもちろん、わざと教団の人間にも聞こえるように内部通信(気)を使い説得を続ける。
(お願いします、リヒャルトシュトラウスさん。一連の攻撃の中で唯一、聖竜皇にダメージを与えていたのがリヒャルトシュトラウスさんの魔法なんです。あなたの存在が私達の切り札なんです)
これは本当だ。だからこそ、彼女をこんな場所で失う訳にはいかないのだ。
教団の人間は彼女の性格を考え遊撃に使っていたがそれは危うい。聖竜皇は知恵が回る。自分に最もダメージを与える人間から消しに来るだろう。
ならば、リヒャルトシュトラウスは陣地奥地に籠もらせ、魔法が完成した瞬間にだけ前に出させたほうがいい。
「いや、でも…私はイグナティウスから遊撃を任されてるし…」
(構いませんよね? イグナティウスさん)
私が同意を取るとイグナティウスは大きく頷く。
「イグナティウスさんの許可は取りました。お願いします、リヒャルトシュトラウスさん」
私は内部通信(気)を切り、あえて大きな肉声で最後の依頼をかける。もちろん、深々と腰は曲げている。
「分かったよ…」
リヒャルトシュトラウスは不承不承の態度を取りながら、それでもまんざらでも無いといった表情をして私達の元へ走ってくる。
よし、まず1人。これで長距離固定砲台を手に入れた。
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