第281話 春日井真澄VS聖竜皇ディオクレティアヌス③
「馬鹿弟子、代わります。プレイヤーキルマイスターの回復は私が担当します。あなたは皆の援護と遊撃を!」
「了解です! 先生! 行ってきます」
そう言い残すとヴァレンシュタインは私にウィンクをして行ってしまった。私とイグナティウスは2人きりとなる。
先程まで殺し合いをしていたのだ。正直、気まずい…
「馬鹿弟子の不始末に付き合わせてしまい。申し訳ありません、真澄さん。今は先程の遺恨は置いておいて強力して下さいませんか?」
気まずいと思ったのは私だけではなかったようだ。沈黙が続くとイグナティウスの方が声をかけてきてくれた。もちろん、私に異存があるわけがない。
「分かりました。私が2人の盾になります」
「プランタジネット、カスティリィヤ。あなた達も盾役です。以前のように2人1組で聖竜王の物理攻撃から私達を守って下さい。前回、聖竜王を攻略した時とはメンバーがまるで違いますがまあ、なんとかなるでしょう。私の側で回復しながら動いて下さい」
そう言うイグナティウスの周りには既に【共に戦う無神論者に宿る信仰者の炎】が展開されている。イグナティウスの周囲にいれば自動で回復できるのだ。
私のHPもグングン回復している。味方にすればなんと頼もしい人だ。
きっと教団の内部でもリーダー的な存在なのだろう、プランタジネットと呼ばれた白服の腰まで伸びた茶髪の女性が大きく頷き了承の意を見せた。
カスティリヤと呼ばれた改造白服の女もめんどくさそうにだが素直にイグナティウスの指示を受け入れた。
私は水無瀬さんのために教団を訪れてから初めて小休止をいれる。思えば怒涛の展開だった。
教団を訪れた時はココまでの展開はまるで予想していなかった。
これまでのことを反芻し、ダラけきった顔をしていたのだろう、つっけんどんな態度を取ったカスティリィヤから声がかかった。
「春日井真澄、言っとくが私が手を貸すのは今回だけだかんな。エミリーは認めるが、私はまだお前のことなんか信用してねーからな。なにが世界を変えるだけでなく、時代をも変えるだよ。やっぱし、普通の高校生じゃないか…」
「それについては私も同感ですね。渚もオーバーに評価しすぎです。彼女もどうせ友達がいないからああいう評価なんでしょう。しかし、合流した側から聖竜皇と2度目の戦闘ですか…全てが全て嘘でも無いような気もしますね…」
「怖いこと言うなよ、プランタジネット。ということは私達も巻き込まれ確定じゃねえか~」
エミリーも渚も私のことをどんな風に語ったんだろう。なんか超凄い人だと聞いていたのに会って見るとそれほどでも無かった扱いされてるんですけど…
プランタジネットとカスティリィヤはそれだけ言うと私を無視し、それぞれ好き勝手語っている。
だが、2人の実力は本物だ。超高位レベルの聖竜皇の物理攻撃を受けてほぼ、ゼロダメージ。
あんな超デカブツとの戦闘は僅か3名で、できるものではない。本来なら数十人規模のパーティーを組み、役割分担をしっかり決めて対処するものだ。この増援は本当にありがたい。
そして、増援は何も教団の人間だけではない。
対竜戦闘に長けた私の親友がこのピンチに駆けつけない訳がないのだ。
そして、最も古くから私を助けてくれる親友は呼んでいなくとも常に駆けつけてくれるのだ。
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