第280話 春日井真澄VS聖竜皇ディオクレティアヌス②
聖竜皇ディオクレティアヌス。未だ普通の竜とすら戦ったことがないのに最初の対竜戦闘が聖竜皇って非道くないですか?
RDHよりは弱いのだろうか!? 普通はどの階層にいる敵なんだろう? そんなことを思いながらその山のように巨大な体躯を見上げると、意識に直接、聖竜皇の言葉が響いた。
「下等な人間風情がこの私を愚弄しよって! 絶対に許さんぞ!!」
竜皇ともなれば、人語を解せるのかと関心していると猛烈な音量の咆哮を放った。
腹に響く竜の咆哮は戦闘意欲を挫く。まして竜の皇たる聖竜皇の咆哮であれば現実の精神にすら外傷を与えそうである。
私が怯んだ隙を見逃さず、聖竜王は必殺の【インペリアル・ドラコンズ・ホーリー・ブレス】を放つ。祥君を行動不能にしたものよりも遥かに高純度だ。
「黄金壁!」
隣に立つヴァレンシュタインと祥君が死んでしまえば、万が一にも勝機は無くなる。全開の【黄金壁】で防御しているが聖竜皇のブレスは先程までとは出力が違う。このままでは1分も持たずに【黄金壁】は突破され、3人仲良く死んでしまう。
しかも、この状態!? もしも一連のやりとり全てがヴァレンシュタインの演技だったら私も祥君も普通にPK されてしまうのではないか?
そう思った瞬間、肩口に単語帳が刺さる。【黄金壁】の強度が上がった! 単語帳の効果か!?
「持ちこたえてね、真澄ちゃん。盾役が死んだらそれで終わるよ」
ヴァレンシュタインがそう激励してくる。その顔からは悲壮の覚悟が見て取れる。
「【黄金気】なんてレアすぎて、強化ができない。汎用の【気】の威力上昇じゃ、この程度か」
ヴァレンシュタインが表情を歪ませ弱音を吐く。
疑ってる人間に真剣に心配されるとバツが悪いこと、この上ないな…
「とにかく、プレイヤーキルマイスターを先に治さななきゃ。このままじゃ、削り取られて終わるわ」
ヴァレンシュタインそう言うと祥君の治療に戻る。既に祥君には様々な単語帳が刺さっている。私が【黄金壁】で聖竜王の一撃を止めている間にそこまでやっていたのか。この人、やはり仲間にすると有能だわ。
私が安堵しているとなぜか聖竜皇はブレスの放出を止めてきた。
観察していたのは私だけではなかったのだ。
聖竜皇は巨大な腕を力の限り、振り落としてきた。
私の【黄金壁】は魔法などエネルギー放出系には強いが物理防御には弱い。それを見抜かれた!
超重量の腕から放たれる高威力の物理攻撃。あれ!? これ死んだ?
そう思った瞬間、白い服の女が現れた。1人ではない、複数だ!
2人が私達と聖竜皇との間に入り、超重量の一撃を受け止めた。1人が魔法障壁を張り物理攻撃のダメージを無効化し、もう1人が超重量を受けきった。
さらに、動きの止まった聖竜皇の頭部を目がけて高威力の援護射撃も入る。
「馬鹿弟子が! なに人災を引き起こしてるんですか!」
そう言ってヴァレンシュタインに発破をかけたのはもちろんイグナティウスだった。
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