第275話 最初の一歩は拉致から始めます㊺
冥竜王と並ぶ聖竜皇の本気の一撃である。まともに喰らえば、祥君とてただでは済まない。
しかし、祥君は既にヴァレンシュタイン撃破のために攻撃モーションに入っている。どうするのか!?
祥君は回避不能と悟るとそのまま、ヴァレンシュタインへの攻撃を続行。丁寧に頸動脈への一撃を放つと瞬時に振り返り、最大防御。
圧倒的な量の白い光が祥君とヴァレンシュタインを飲み込む。
聖竜皇はブレスを放ち終えると、棒立ち状態に戻った。冥竜王は消失してしまった。冥竜王への【冥力】の供給ができないほどのダメージを祥君は受けたのか!?
「祥君!」
私は祥君の元に駆け寄ると全身、ズタボロで酷い状態だった。現実の肉体に痛みがフィードバックされるわけでもないので当然、生きてはいるだろうが情報体は口も開けない程、酷い状態だ。
【白気】を展開し、祥君に流して回復を始める。
しかし、苦戦はしたがなんとかヴァレンシュタインを倒せた。そう、思って安堵しているとヴァレンシュタインはむくりと起き上がってきた。
「さしものプレイヤーキルマイスターも聖竜皇の一撃には耐えれなかったようね~」
首に手を当て状態を確かめながらヴァレンシュタインはそう言ってきた。首には単語帳が貼られ回復が始まっている。
「まあ、属性がまるで逆だからダメージも酷いんでしょうね~竜皇クラスの一撃でもプレイヤーキルマイスターなら耐えそうだし~」
ヴァレンシュタインの様子を確認すれば、多少のダメージあるものの、まだまだ意気軒昂だ。
「なんで、首を斬られ、聖竜皇のブレスで焼かれたあなたが生きてるんですか?」
私は祥君を守るように立ち、ヴァレンシュタインに対峙する。
「あの時、私の身体に貼ったのは【HP急速回復】、【聖属性耐性アップ】、【対竜攻撃耐性アップ】、【対斬耐性アップ】と【即死回避】だよ。一か八かの賭けだったけどプレイヤーキルマイスターならあの場面で必ず私の首を狙ってくると読めてた。ディオクレティアヌスの攻撃が迫っていたせいで選択肢が少なかったんでしょう。読めていたなら斬撃の瞬間、首を大きく引けば即死は免れる…」
「とはいえ、だいぶHPを持っていかれたよ。私の読みでは完全回避に成功してたんだけど…保険の【即死回避】が無ければ死んでた。首を斬られる体験は二度とはしたくないってことが分かったよ。後は真澄ちゃんに死んでもらい教団に入ってもらえれば万事終了だね」
どうする!? 私が戦うしかないのか!? けれど、祥君と違って流石に聖竜皇とやらとの互角の戦闘は不可能だ。
「私としては真澄ちゃんがここにいることの方が不思議だよ。全く先生も足止めぐらい、きっちりやってほしいもんだよ。【黄金気】による近接戦闘だけに気をつけたらいいのかと思えば、とんでもない援護射撃がきたよ。おかげで死にかけたんだよ、この私が…」
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