第267話 最初の一歩は拉致から始めます㊲
「…」
イグナティウスの悲痛な叫びを聞き、私は絶句していると、突如、空間が軋んだ。すると、先程、祥君が出てきたように空間の亀裂からエミリーと2人の白服の女性が出てきた。
「ヴァレンシュタインとプレイヤーキルマイスターは戦闘中。イグナティウスは春日井さんと戦闘中のようですね」
ショートカットの女が穏やかな声で戦況分析をしている。
「げっ、なんだこの状況! 怪獣大戦争かよ」
白服を着崩し改造した浅黒い顔をした女は思ったことをそのまま口にしている。
「さて、どうしたものか…」
「プランタジネットとリグヴェーダも来たようです。彼女達はどうなったんでしょう」
そうショートカットの女が言うとまたしても空間が軋み、中から渚と白服の女が2人出てくる。
「まだ、戦闘は継続中か…」
腰まで伸びた茶色の髪を持った女がそう呟く。
「おまけに想像以上の混沌とした戦場だな、なんだよあのデカブツ…」
ボサボサ頭の黒髪の女が同じような感想を述べる。
最悪だ。1対1でも苦戦しているのに、3対1にまで持ち込まれたらとても勝てない。背中にゾッとした寒気を感じ、私はエミリーと渚を見るがどういう訳か2人共、私に加勢しようとする気配が無い。
「4人ともちょうどいいところへ、リグヴェーダとカスティリヤは私に加勢して下さい。プランタジネットとリヒァルトシュトラウスは遠距離攻撃でプレイヤーキルマイスターを殺って下さい」
4人を確認したイグナティウスは的確に指示を出す。
しかし、そこで予想もしない言葉が4人から漏れた。
「すみません。イグナティウス。エミリーとの約束があるので加勢はできません」
リヒァルトシュトラウスと呼ばれた女はイグナティウスに頭を下げ丁寧に謝罪した。
「まあ、逆に渚の参戦も無いから実質、プラスマイナスはゼロだが」
カスティリヤと呼ばれた女はリヒァルトシュトラウスに乗じて悪びれもせずそう言った。
「悪いイグナティウス、こっちも今日は限界以上に戦闘したからもう一戦は流石に無理だわ」
リヒァルトシュトラウスと呼ばれた女は手で謝罪の形を作り、謝る。
「撃退はできなかったけど、当初のノルマは果たしたよ~こっちも渚の参戦は無しだよ…」
リグヴェーダと呼ばれた女は舌足らずな口調でそう説明した。
見れば四人の女には皆、【聖女】の称号が付いている。エミリーも渚も聖女二人を相手に奮戦してくれたのだろう。その結果がこの不戦と観戦なのだろう。
彼女達も頑張ってくれたのだ。言い出しっぺの私がここでへこんでる訳にはいかない。
読んで頂きありがとうございました。明日の投稿もなんとか頑張ります。
投稿時間をまた朝型に戻してみます。
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