第238話 最初の一歩は拉致から始めます⑧
「まさか、【聖女】の称号持ちが棒術を使ってくるとはな、やたら長い杖だとは思っていたが棒術とはまた、マイナーな武器を」
「棒術は僧侶のジョブでは必須なんですよ。人気はありませんが…対象を殺すことなく無効化できるので私は気に入っています。私は血を見るのが好きではありませんので…プレイヤーキルマイスターのパーティーにその魅力を語っても無駄かもしれまんが」
私はあくまで真澄の友人であってショウとは協力関係にしか無いのだが…やはり、他人の目から見ればそう映るか…
「まあ、我が教団は後衛職が多いですからね。身体だけは頑丈な私が前に出れば少しは役に立てるかなと思いまして」
腰を落とし、プランタジネットが戦闘態勢に移行する。これまであった暢気なイメージが霧散し私が過去に戦ってきた歴戦のプレイヤーと同じ表情になる。
「そしてさらに、どうして私が棒術をメインに選んだかというと魔法との親和性が高いからです」
そう言うと棒術の構えを解き、魔法を唱えてくる。
「ク・カラ・クカリ・シキカルケレカレ!」
瞬時に展開された無数の光の矢が私を襲う。そういえば、大した防御力の魔法障壁を持っていた。遠距離攻撃と高位レベルにある前衛の一撃を耐えきる魔法障壁、おまけに棒術をマスターし前衛として近接攻撃も可能。なるほど、こいつ、やや後衛よりだが私と同じオールマイティー型か…
下手に避けると先程の棒術に対応できない。気合を入れ直し前方に飛び正面から飛んでくる魔法の矢だけを直撃を喰らう。
距離を取っての戦いは不利だ。相手の間合いに入り、剣術対棒術の戦いに持ち込む。
ちらりとリグヴェーダの方を見るが彼女はおそらく脱落確定だ。右腕が落ちた消失からまだ戻って来ていない。左手で肩口を押さえ微動だにしない。
PKこそできなかったが致命の傷だ。あのメンタルではこの戦闘中に復活するということはないだろう。焼かられながら斬られるという感覚は痛みが無いからといって早々、耐え切れるものでは無い。トラウマものだろう。
「翠嵐劫火炎熱斬!」
「鉄身破砕!」
互いの必殺技が炸裂する。しかし、私の必殺技は炎を纏い自身にも恒常的に中ダメージを与える代償有りのロンバルディア剣王技の奥義。一撃の破壊力は私の方が高いはず。棒術は携帯性に優れ、魔法との親和性が高く、人を殺さず無効化するという意味で警察や警備員などの職業を目指す者には人気だがそれだけだ。PKしてでも勝利をつかみ取るという乱暴な選択ができない者が私に勝てるわけがない。
読んで頂きありがとうございました。明日もなんとか投稿頑張りたいと思います。
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