第221話 全てゼロからやり直します①
「あ~あ、結局、私達を無視して寄りを戻す形で決着ついちゃったよ」
ヴァレンシュタインも単語帳を仕舞い、戦闘態勢を解いてそう言ってきた。
「けど、君達だけで完結していいのかな~私達はまだ、戦闘中だよ」
いつものふざけた印象を崩し、本気になった顔ではヴァレンシュタイン言ってくる。やはり、高レベルプレイヤー、そう簡単には見逃してくれないか。発端となった私達2人が和解しても、エミリーはともかくイグナティウスとヴァレンシュタインは戦闘がここまで進んでしまったのだ、遺恨はなくとも最後までやりたいのだろう。しかし、その対策は既に考えてある。
「なら、エミリーと私と祥君とで3対2なるだけです」
私が助けを求め駆けつけてくれた2人への恩義を無視し、図々しくもそう提案する。祥君一人でも苦戦してたのだ、私とエミリーが祥君の方につけば形勢は瞬時に逆転する。
「げぇ!? それは無理だわ」
反応早や! 私が脅しをかけるとあっさりと引いてくれた。なんだ脅しが効いたというより、先程の発言はからかうのが目的で本気の発言では無かったのか。真面目に答えて損した。
「この馬鹿弟子が! 最高の形で終わったのに茶化すんじゃありません。収まるところに収まったのですから言うこと無しです」
やはり、プレイヤーキルマイスターにちょっかいをかけるというのは危険なことなのだろう。こちらはいたって真面目な様子でイグナティウスが魔封礼師のお姉さんを叱っている。まるでイタズラをした子供を叱っているような感じだ。
「は~い。だって私まだ全力出してないんですよ。援護ばっかで攻撃だってしてないし~」
「だったら、やるか? オレとしてもお前をPKすることには興味がある」
言われっぱなしなのが気に障ったのか祥君が反論してくる。
「やりませんよ~だ。野良バトルで手の内さらしても意味無いですから~」
この人一体何歳なんだろう? アッカンベーの仕草をしてヴァレンシュタインは祥君を挑発する。とても歳を重ねた大人には見えない。ここに連れてきてくれた時の【聖女】たる雰囲気はどこかへ逃げてしまったようだ。
「そうだな。それはこちらも同じことだ。どうせ、いつかお前達とは壮絶な殺し合いをすることになるだろう。その時、殺ればいいだけのことだ」
「あ~おっかない。できればそんなのはごめん被りたいね」
それだけ言うとヴァレンシュタインは背中を向いて後ろ手で手を振り、引けていった。
読んで頂きありがとうございました。明日もなんとか投稿がんばります。明日は深夜に投稿するかもです。
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