第196話 初めてのPK(プレイヤーキル)⑥
「私だけいいとこが無かったからね。この男は私が倒すよ。2人は手を出さないで」
恥をかかせた返礼に私が彼を倒すことを宣言する。彼も無様な発言を引き出した私をPKしたいだろう。そう勝手に目の前の護衛の気持ちを押し測り前に出る。
「できれば名にしおうプレイヤーキルマイスターと殺りたかったが状況的に3対1でないのはありがたい。各個撃破に刹那の望みを抱かせてもらう」
最後の護衛はそう言い捨てると私に向かって突撃してきた。護衛の渾身の力をこめたであろう一撃が私の心臓をめがけて飛来してくる。
室内戦闘なのに槍? 妙なチョイスだ。そういえば、槍使いとの戦闘経験は皆無だ。粋がったのはいいが勝てるのか!?
まずは黄金気を全力にして前面に展開し防御。先ほどの火炎魔法を受けた時に編み出した防御法だ。名づけて【黄金壁】。身体に密着して纏うよりも前面に展開させて張るほうが広い範囲を守ることができる。黄金気は魔法防御だけでなく物理防御にも高い効力を発揮する。なまじっかの攻撃ではこの壁を破ることすらできまい。そう思い内心、ほくそ笑んでいたら奴の一撃は黄金壁をぶち抜き私の身体まで届いた。
とっさに力任せの回避を行い致命傷こそ避けたものの黄金気の防御を突破してきた!? こいつ何者だ!?
「そう言えば名乗っていなかったな襲撃者。一心一槍流師範代・菟玖波蓮架だ。貴様は?」
「私の名は春日井真澄。まだ無銘の冒険者よ」
「黄金気を使えるプレイヤーなど黒佐賀王国国王黒佐賀ぐらいだと思っていたが世界は広いな。そして、俺の一心一槍流が黄金気をも突き破るのと分かったのは収穫だ。これでPKされても師匠に面目が立つ」
「そういう台詞は私にPKされてからいいなさいよ」
「どうやらお前は3人の中ではダントツに一番弱い。これは各個撃破に光が見えてきた。いかせてもらう」
そう叫んだ菟玖波は再度、間合いを詰めこちらに向かってくる。
「百蓮突き!」
菟玖波の槍は目にも止まらぬ連続攻撃となって私に襲いかかる。避けるのは無理だ。最も防御力の高い黄金気を全力展開させた状態でブロックする。しかし、みるみるHPが削れていく。先ほどの後衛が使った魔法の倍の早さだ。
そして、突如、予備動作無しに連続突きの挙動が止まる。技後硬直化か!?
しかし、こちらもあまりにも突然のことで動けない。菟玖波は槍を反転させて石突を私の制服に引っかけた。
「槍・背負い投げ!」
私は天井に擦り付けられたような状態で投げ飛ばされた。ここまでの過程で早くもHPが半分にまで削られた。
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