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ゲームで人を殺してなぜ悪い!? ~私の彼氏はPK(プレイヤーキル)職人~  作者: ネガメガネ
第3章 若い時の苦労は買ってでもしろと言うが親が貧乏だと背負わなくてもいい苦労をオートで背負い込む
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第191話 初めてのPK(プレイヤーキル)①

 翌日のPM8時頃。私と祥君とガズナの3人は第1階層のとある高級マンションの前に来ていた。

 ターゲットである田脳村竹田たのうむらちくでんは毎週木曜日の夕方6時から9時までここで愛人の家族と過ごすとのことだ。

 リアルで会うわけでもなくゲーム内で会うとはどういう神経をしているのだろうか。

 リアルで会えば不倫が成立するが仮想世界の逢瀬なら不倫が成立しないという理由だろうか。まあ、既に現実世界と仮想世界の境界線がひどく曖昧になっている。どちらで会おうが人としての温かみにそれほどの違いは無いのだろうがそれでも釈然としないものがある。

 それはターゲットがセカンドワールドオンラインを不倫のツールとして使っているからだろうか。それとも、ターゲットが人とアバターに違いを感じていないからだろうか。

 自分が今からPK(プレイヤーキルする相手でもあるせいか、なぜか小さなことまで気になった。

 たぶん、タバコでもあれば何本も吸い捨てていただろう。それほど心がザワザワしているのが分かった。

 大丈夫だ。私が殺すのは単なるアバターなのだ。

 ターゲットはやはり5人の護衛を付けているとのことだ。内3人は部屋に入ったとガズナから報告を聞いていた。残りの護衛2人は部屋のドアの前で待機しているとのことだ。

 護衛3人をわざわざ部屋に連れて入ったということは情事が目的ではないのだろうか。

 いや、相手は金持ちだ。普通のプレイでは飽き足らずそういう妙なプレイを嗜好する変態かもしれない。 

 いやいや、ガズナの話をよく思い出せ。ターゲットは愛人の家族と過ごすと言っていた。ということは子供と愛人と田脳村の3人で家族の団欒をアバターを使って行なっているのではないか。それなら護衛3人が入室したのにも理解ができる。

 いや、愛人と娘と2人まとめて妙なプレイを行なっているのかもしれない。

 私は自分の想像に吐き気をもよおしてきた。ダメだ。ナーバスになって妙な想像しかできない。PKを依頼されるような悪党だ。こんな奴を相手に慈悲など必要ないのに。

 PKを依頼された理由もひどく納得のいくものだった。依頼者はなんと数百人を超えていた。全て田脳村が経営する会社の社員だった。

 田脳村が経営する会社は口ではコンプライアンスを謳いながら実態は凄まじいブラック企業だった。

 出勤の定時は朝8時なのに7時から強引に出させたり、休憩の実態がないのにコンプライアンスを理由に見せかけ上取得したことにさせたり、経営の健全化のために休憩時間の水増しを行い8時間休憩を取ったように見せかけたり、退勤が9時なのに平気でタイムカードだけ打たせて終電まで引き伸ばしたり、公休日なのに出勤させたり、有給を1日たりとも与えなかったり。ちなみに病気で休みたい時だけ、有給を使い出勤させ、それで最大限、恩を売らせるとのことだ。この会社で有給を使わせてやったぞ。ありがたく思えと。

 まさにブラック企業の見本市といった感じだ。

 思い返すだけで腹が立つ。

 労働基準監督局はなにをやってるんだと憤ったら祥君はしれっと『人が足りなくて監督できてない』と答えてくれた。

 気になって調べてみたら2084年現在、税収不足により、労働基準監督局の職員の数は激減しているとのことだ。やむなくデジタルデータなどでタイムカードなどを管理し、法令違反があれば電子メールなどでその会社の法務部に対して指導するとのことだ。そういった法令違反にならないためのデジタルデータの作り方という指南書や指南者が格安で存在するらしく、ブラック企業ほどそういった対策は上手いとのことだ。

 ならば自分の足で労働基準監督局に向かい直訴すればいいと思うかもしれないがそういったデジタルデータの裏付けがないため労働基準監督局も動けないとのことだ。

 自分の力で実態のデータを作り労働基準監督局を動かす者もいるが、多くのブラック企業は行政の指導に対しその場限りの是正はするが数週間で元に戻るとのことだ。そして、内部告発をした人間は真綿で首を絞めるが如くゆっくりゆっくりと干されていくとのことだ。

 そんなこんで社会システムが固定化し、現在、労働基準監督局に垂れ込む人間など皆無だそうだ。当然だ。垂れ込んでもなんの意味もないと皆理解したからだ。経費節減のために廃止論もでているとのことだ。

 以上のような理由から最強のプレイヤーキルマイスターである祥君にせめて怨みを晴らしてくれと依頼PKをしてくる人間が後を絶たないとのことだ。

 祥君はあまり積極的にはそういった依頼は受けないがプレイヤーキルマイスターへの依頼窓口を自力で見つけてくる気骨のある者の依頼だけは気晴らしに受けてあげているらしい。


 読んで頂きありがとうございました。明日もなんとか投稿ガンバリたいと思います。

 ブックマーク、感想、評価、メッセージなんでもお待ちしております。

 皆様のポチっとが私の創作の長崎チャンポンラーメン鍋(意味不明)ですので何卒よろしくお願いします。

 気晴らしに11月11日の活動報告にとあるなろう作家の1日。お菓子作り編を投稿してみたのでよろしければ読んでみて下さい。

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