第189話 黄金気を修得した新米領主の私は第1階層でまたしても妙な人物に会う
「なんで尾行してきたの? それとよく私の蹴りをかわせたね」
「凄まじい威力の蹴りでしたが幸い、当てる技術の無い凡庸な蹴りでしたので。こうみえても私、結構強いんです」
確かに完全に死角からの一撃だったはずなのにかわされた。知覚がワンテンポ遅れてもかわされるということはよっぽど私の攻撃は遅いのだろうか。
「別にゲーム(ここ)でなくとも学校で直接、教えてくれればいいのに」
「詳細は数日前に決まっていたのですがショウ様曰くお忙しそうでしたので声をかけるのをためらったとのことです。そのため、私が派遣されました。また、お忙しいようなら無理に参加しなくてもよいと言付かってます」
なんだか祥君に妙な気遣いをさせている。その対応策がわざわざ人を派遣してメッセージを運ばせるというのが凄い。これが金を持つコミュ障のやり方か。
「真澄様の邪魔をしないことを最優先にという指示も下りていましたのでずっと機会を窺っていました。今日、ようやく第1階層に独りで出歩かれ、なにやら物思いにふけっておられるようでしたのであえてバレバレの尾行をし注意を私に向け、攻撃を誘うことで興味を引き、今こうして話をしているわけです。依頼PKの予定も迫っていましたので…」
「尾行に気付かせたのも、わざとだっていうの!? なんでそんな七面倒くさいことを?」
「あくまでも真澄様の邪魔をしない範囲うえで機会があれば対応しろという指示だったからです。ショウ様の私に対する指示には常に呪いがかかっているので七面倒くさくてもやるしか選択肢はありません。こうみえてもずっと機会は窺っていたのですよ」
「ずっとって、いつから?」
「黒佐賀王国の首都ブーランジュで王城の城門を壊した当たりからですかね。身を隠して、お側に控えていたんですよ」
あのイヴァンと戦って城門を破壊した時から今までずっと隠形で隠れていたというのか。とんでもない実力者だ。
「けど、それなら、さっきのバレバレの尾行は!? 私の邪魔になってるんじゃないの?」
「真澄様が蹴りを放ったときは邪魔というよりも敵意の方が勝っていました。その後は真澄様主導で話をしておられるので邪魔ではないはずです。要は私の解釈一つなのです。私が真澄様の邪魔をしていると認識すれば、システムが検知し呪いを発動させます。そして、その考え方は危険です。呪いが発動してしまう。あなたが邪魔だと思い。私がそれを認めたら呪いが発動してしまうのです。別の話題にしましょう」
読んでいただきありがとうございました。明日もなんとか投稿頑張りたいと思います。
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