第184話 黄金気を修得した新米領主の私はガリポリ領主館で奇妙な客を出迎える
せっかくガリポリ領主館での滞在に持ち時間の全てを使ったのに私の執務室のドアを叩く職員は誰1人としていなかった。
やはり、職員の名前をネブラスカ以外1人も覚えていないような状態では無理なのか。今後は職員全員の名前も覚えて、こちらから話を切り出していこう。
そんなことを考え、今日は少し早いがそろそろログアウトしようかなと思った時、事件が起きた。
なにやら1階の方が騒がしい。
「お待ち下さい。カンザス様」
「ええい、どけ! ラクロウ」
「せめて、取り次いで参りますのでお待ちを!」
「そんなことを言ってまた、逃げる気だろう。今、居るのは分かっておるのだ。通せ」
どうもいつも受付の男性と誰かが揉めてるようだ。
私が興味本位でのぞきに行こうとしたらアクィナスが叱ってきた。
「いけません。真澄様。賊かもしれません。気軽にお会いになっては」
「いや、もしかしたら私宛の訪問者かもしれないし…」
「だとしても、まずはネブラスカ一等執政官。次は私と順序を守るべきです。急に押しかけて16領主と面談が叶うなどと悪しき前例を作っては今後に混乱が生じます。なにより手順を守ってネブラスカ一等執政官や領主と会談をしようとする者が一方的に損をするやり方は許せません。あんな乱暴な輩は強制退去で構わないのです。こんな時、イヴァン君がいれば…衛兵は何をしているのでしょう。私が直接文句を言ってきます。真澄様はここでお待ちを」
そう言ってアクィナスは珍しく怒りながら出て行ってしまった。
私は独り領主室で待ちぼうけを食う羽目になってしまった。アクィナスが一階まで降りると急に静かになった。上手く仲裁しているようだ。しかし、なかなか戻ってこない。心配だ。
やはり私が行った方が手っ取り早かったのではないか。どうも、他人に揉め事の仲裁をするのはバツが悪い。
私がソワソワして室内を行ったり来たりしているとアクィナスが申し訳なさそうな顔をして領主室に入ってきた。
「申し訳ありません。真澄様。失敗してしまいました。会って頂きたい方がいるのですが…」
アクィナスが領主室を出た時とは真逆に意気消沈した顔をしてそう言ってきた。
「構わないよ。通して。それでどんな無法者なの?」
私がアクィナスにそう尋ねると恰幅のいい男性が私の許可も無く勝手に領主室に入ってきた。
「ダーダネルス領・領主館一等執政官のカンザス・アヴァールだ」
読んで頂きありがとうございました。
珍しく25時投稿をしてみました。明日も投稿ガンバリたいと思います。時間はちょっと不明です。
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